« また映画祭をやっているのと言われて:その(4) | トップページ | 『ゼロ・グラビティ』の革新性 »

2013年12月23日 (月)

『47RONIN』の描く日本

外国映画に出てくるちょっとヘンな日本が好きだ。最近はハリウッド映画でも、『硫黄島からの手紙』や『終戦のエンペラー』のように日本人が見てもおかしくない真面目な作品が増えたが、『47RONIN』は久々にやってくれた感じ。

冒頭の怪獣に驚く。それに立ち向かう侍たちは日本人の顔をしながら、英語を話す。そこに現れて、怪獣を仕留めるカイ(キアヌ・リーブス)は容貌ゆえにみんなから蔑まれる存在だが、赤穂藩主の娘(柴崎コウ)に愛されている。

赤穂藩の侍は赤で統一され、吉良の一族は紫。将軍の金の衣装は、どう見ても中国風。さらに浅野忠信演じる吉良の側室(菊池凜子)は、妖術を使って狐に化けて、赤穂藩を滅ぼそうとする。

赤穂藩はおとり潰しになり、カイを含む47人の浪人が揃って吉良の屋敷に入り、復讐を果たす。その屋敷が豪華すぎて日本離れしているし、その時の大石内蔵助(真田広之)の踊りはどう見ても、中国風の現代ダンス。47人の切腹では、全員が桜の舞う下に白装束で並ぶ。

パンフレットを買って、特殊効果は「ハリー・ポッター」シリーズを手掛けた人で、衣装は「パイレーツ・オブ・カリビアン」のデザイナーだと知って、納得した。この映画は日本を舞台にして忠臣蔵のネタを使いながら、あの種のコスチューム・アクション映画を作ろうとしたのだった。こちらは「オヤオヤ」と驚きながら見たので十分楽しめたが、怒った観客もいるのかもしれない。

殺陣のうまい真田広之が良かったし、田中泯、浅野忠信、菊池凜子、柴崎コウらがそれぞれ存在感があったのも、楽しめた理由かもしれない。将軍を演じた日系の俳優はダメだったが。

キアヌ・リーブスが柴崎コウと相思相愛というのも、アメリカ人をターゲットとした映画だから当然のことだろう。ハリウッド男優が異郷の地の女とデキるというのが王道だから。この映画では、日本の侍は死刑ではなく切腹を名誉とするシーンが2度出てくるが、世界の観客は「ああ日本人はやっぱりセップクなんだ」と紋切型を確認するだろう。切腹のシーンでハラキリが全く写らず、血が一滴も見えないのも、ハリウッド的配慮だろう。

その意味では相変わらずのハリウッド映画とも言えるが、日本が長い文化を持つ美しい国であり、名誉を重んじる立派な国民だ、ということは十分に伝わるので、まあいいか。それに出演した日本人俳優は、今後もハリウッドでの仕事が増えるだろうし。

|

« また映画祭をやっているのと言われて:その(4) | トップページ | 『ゼロ・グラビティ』の革新性 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/58804616

この記事へのトラックバック一覧です: 『47RONIN』の描く日本:

» 映画「47RONIN」どっちつかずの失敗作だった [soramove]
映画「47RONIN」★★☆ キアヌ・リーブス、真田広之、 柴咲コウ、浅野忠信、 菊地凛子、赤西仁出演 カール・リンシュ監督 121分、2013年12月6日より公開 2013,アメリカ,東宝東和 (原題/原作:47 RON) 人気ブログランキングへ">>→  ★映画のブログ★どんなブログが人気なのか知りたい← 「ハリウッドで新たな世界観によって描いた 『忠臣蔵』が、この作品、 別物と思... [続きを読む]

受信: 2013年12月31日 (火) 20時12分

« また映画祭をやっているのと言われて:その(4) | トップページ | 『ゼロ・グラビティ』の革新性 »