世にも不思議な「日本美術の祭典」
昨年秋頃から「日本美術の祭典」という奇妙なコピーのついたチラシを見ていた。最初は国宝ばかりを集めた展覧会でもやるのかと思ったら、3つの違う展覧会を同時期に上野でやって、それらをまとめた呼称のようだ。
うち2つは15日に始まって2月23日まで東京国立博物館で開催中の「クリーブランド美術館展」と「人間国宝展」で、もう1つは25日から4月1日まで東京都美術館で開かれる「世紀の日本画」展である。
一言で言うと、日本美術の収集で有名な米国美術館からごっそり借りてくる「○〇美術館展」と、日本伝統工芸展60回記念でこれまでに受賞した工芸作品展と、日本美術院再興100年を記念して院展の巨匠たちの作品を並べた日本画展。
見事に、何の関係もない。これならば仏像展だって現代美術展だって、日本の美術なら何でもいれられるだろう。そしてこれを「日本美術の祭典」として共通チケットまで作って売っている。
私は東博の2つの内覧会に行ったが、出会った某新聞記者に「これって牽強付会というか、何の関係もないでしょう」と言ったら、「朝日新聞社がやっていることが共通点でしょう」という返事だった。
自分がかつて勤めていた会社の悪口はあまり言いたくないが、それでも朝日はもちろん他紙も書かないと思うので敢えて書く。これでは、何のコンセプトもない、宣伝のために、つまりは金儲けのために強引にくっつけた展覧会に見える。それぞれ「帰ってきたNIPPON]「今を生きるNIPPON]「明日へ続くNIPPON]とコピーがあるが、遮二無二にしか見えない。院展のどこが「明日へ続く」なのか。
個々の展覧会を批判しているのではない。「人間国宝展」は60年間の日本の最高水準の工芸が見られるだけではない。何と東博が所蔵する縄文時代の土器や江戸時代の茶碗など、現代の工芸のルーツとなるような作品までその横に並べているのだ。これは東博ならでは展覧会だと思う。作品数も多く、何とも見ごたえがある。
「クリーブランド美術館展」はさらにすばらしいが、まだ体調がいまひとつなので、後日書く。
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