『ゲノムハザード』に考える
やはり、今年はツイていない。今年最初の試写は、1月24日公開の日韓合作映画『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』だったが、これがいま一つ。
監督は『美しき野獣』のキム・ソンスで、主演は西島英俊。『美しき野獣』は見ていなかったが、真木よう子や伊武雅刀も出るというので期待して見に行った。
始まって10分ほどで、アクションシーンの多い、いささか大味なサスペンスものだとわかる。西島演じる主人公の石神は、帰宅して妻が殺されているのを発見する。それから次第に自分が本当は韓国人の科学者オ・ジヌだったことが判明してゆく。そこには記憶を上書きする科学者の陰謀があり、という展開。
記憶の上書きという設定はいいが、脚本のキレが悪く、見ていて西島の悪夢のような世界を追体験しているような感じになる。そのうえキム・ヒョジンやパク・トンハの日本語のセリフが翻訳調で、乗りにくい。見ていると次第にアクションシーンがおもしろくなってゆくが、どちらかというと、香港や台湾のノワールのようなB級感が漂う。後半のスローモーションの多用やドラマチックで過剰な音楽も、まさにアジアのノワール世界。
西島秀俊が、文字通りきつい状況の中でいい演技を見せるので、彼のファンなら見る価値はあるだろう。私は最近、真木よう子が気になっていて、それが実は見に行った一番の理由だが、彼女の出番は少なすぎて残念。内容もセリフも、どちらかというと韓国の観客向けの映画に思えた。
それにしても、大半が日本語の映画をよく韓国の監督が仕上げていると感心した。ポン・ジュノ監督が英語で撮った来月公開の『スノーピアサー』もそうだが、韓国が製作主体でどんどん合作をしている感じがする。この映画には日本のポニーキャニオンが合作で加わっているが。
考えてみたら、西島秀俊が同じような力演を見せたアミール・ナデリ監督の『CUT』もそうだし、キアロスタミやジャ・ジャンクーの映画もそうだが、日本が加わった合作では、外国の監督を支援するケースが目につく。もっと日本人の監督が海外に出てゆく方向に行かないのかな。そうでないと、日本の映画会社は外国の監督に気前よく金を出す「みつぐクン」みたい。
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