バブル後のクリスマス
私はテレビは見ないが、週刊誌を読む。よく買うのは『週刊文春』と『アエラ』だが、電車の中刷りによっては『週刊新潮』とか『週刊現代』も読む。先週発売の『週刊文春』には久しぶりに堀井憲一郎氏の文章があって、おもしろかった。
かつては「ホリイのずんずん調査」という連載があって、どうでもいいことを徹底的に調査するのが好きだった。今回は特別編で、「バブル後のクリスマスはいかに変貌したか」。
かつては家族のものだったクリスマスが恋人たちのものになったのは、1983年かららしい。私が大学生の頃で、クリスマス嫌いはこの時から始まっていた。
つまり、「高級レストランで食事し、ティファニーをプレゼントし、高層ホテルに泊まる」というやつ。これは90年代にバブルが崩壊しても理想像として続く。「イルミネーションを見に行く」が登場したのは、90年代後半らしい。確かにこれなら無料で、誰でもできる。
そして「おうちでまったりデート」「夜景を見てから早々と家に帰ってお祝い」が流行りだす。最近大学生に理想を聞いたら「愛する妻と子供に囲まれて過ごすクリスマス」と答えたという。
何という平凡な、野心のない答えか。これではお金を使わないわけだ。ものが売れないのは当たり前だろう。少し景気が良くなっても、使っているのは40代以上ではないか。
そんなことを考えていたら、同じ号で最近の『週間ポスト』や『週刊現代』の老人セックス特集を、政治思想家の仲正昌樹氏が批判していた。中身はともかく驚いたのは、終わりの文章。
「現在五十歳の私は、そろそろ両誌の特集の想定読者ゾーンに行っているはずだが、これまでの人生で、異性であれ同性であれ性的関係を持ったことはない。別に性的不能というわけではない。いろんな仕事が入ってきて、かなり忙しいので、セックスする相手も機会もなくても、さほど孤独を感じない」
これこそ新しい世代じゃないかと思ったが、私よりほんの少し年下だった。一度お会いしたことがあるが、ルックスはむしろいい方だった。忙しいからセックスする機会がないとは、いやあ、驚いた。
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