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2014年1月25日 (土)

『ユーミンの罪』:続き

先日、友人と飲んでいたら(インフル後飲んでばかりいる)、『ユーミンの罪』についてもっと書いて欲しかったと言われた。そこで調子に乗って、この本についてもう少し書く。

著者の酒井順子は私より5つ若い。ちなみにユーミンは彼女の12歳上、つまり一回り違う。同じ高校の出身で長い間憧れだったという。

ユーミンがデビューした1972年は、田中角栄が首相になった年だということが最初に書かれている。ちなみにこれはあさま山荘事件、つまり学生運動終焉の年でもある。彼女の歌は「平和で満ち足りた世であるからこそ誕生し、そして人々に受け入れられていったのではないでしょうか」。

「ユーミンは女性達にとってのパンドラの箱を開けてしまったのです。ユーミンという歌手が登場したことによって、成長し続ける日本に生きる女性達は、刹那の快楽を追求する楽しみを知りました。同時に「刹那の快楽を積み重ねることによって『永遠』を手に入れることができるかもしれない」とも夢想するようになったのです。
日本の若い女性にそのようになうっとりした気持ちを与えたのはユーミンの大きな罪です。・・・
今思えば、ユーミンが見せてくれた刹那の輝きと永遠とは、私たちにとって手に届かない夢でした」

この本の内容は、第1章のこの文章に尽きる。あとは個々の歌を巡って、その時代ごとの「大きな夢」との関連を探っているだけだ。しかしながら、よくもまあ、みなさん騙されたものだと思う。

その中で一番おもしろかったのは、「ブスに優しいユーミン」という項目。「フォーカス」というモテない眼鏡っ子を歌った歌があるという。「(ユーミンの歌の)主人公達は、自信満々なタイプばかりではない。容姿についても然りで、ユーミンの歌はブスに優しいのです」。こうしてユーミンは女に好かれる女になる。こうなると、本当に罪は重い。

この本は1991年で終わる。著者が3年間勤めた会社を辞めた年だという。「そこで気づいたのは、ユーミンの歌というのは「所属している女」のための歌だということ。それは恋人であれ家族であれ学校であれ会社であれ、何らかの集団に所属し、守られている女性が聞くべき歌なのです」

これでピンと来た。私も長年組織に「所属」してきたが(ある意味今も)、どうもこれが性に合わない。ユーミンが苦手な理由がよくわかった。

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