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2014年1月 6日 (月)

都現美の迷走

今年は、ツイていないのかもしれない。最初に見た映画『鑑定人と顔のない依頼人』が全くピンと来なかったし、初めて見た展覧会もどこか違った。東京都現代美術館で19日まで開催の「吉岡徳仁 クリスタライズ」展と「うさぎスマッシュ」展のこと。

「吉岡徳仁」展は、もちろんそれなりに刺激的だった。彼の展示はミッドタウンの「21_21」や森美術館でも見たが、白を基調に作りだす摩訶不思議な透明の世界は、ほかに類を見ない。白いストローのようなものを無限に組み合わせて空間を作ったり、白の造形と光だけでバラや蜘蛛の糸や教会を表象する。

人工的な素材で徹底的に自然を模倣することで、現代人にとって何とも心地よい空間ができている。しかし、これは気持ちいいだけではないか、という思いも出てくる。同じような化学的な人工物でも、同じ美術館で個展をやった名和晃平のような「毒」はない。「これはアートではない」と、どこかで思う。

「うさぎスマッシュ」展に至っては、もはや開いた口が塞がらない。やたらにパネルと映像と文字が多いが、造形として見るに堪えるものはほとんどない。おもしろいと思ったら、1970年代の木村恒久のフォトモンタージュだった。展覧会は、副題が「世界にふれる方法」で「方法」にはデザインとカナが振ってある。このスノッブさ。

また「東京アートミーティング[第4回]」とも書かれている。「東京アートミーティング」という題名が既に終わっていると思うが、そういえば毎年一度何だかわからない気取った展覧会があったのを思い出した。この都現美の迷走ぶりは誰か止めないと、都民としてはまさに税金の無駄使いだと思う。美術館の入口に「これは美術館ではない」と書いたらどうか。

帰りに常設展をのぞいて、河原温や磯部行久の小さな展示に、かつてここで開かれた素晴らしい個展を思い出した。あるいは3Fの冨井大裕や金氏徹平らの若手作家の展示もおもしろかった。こちらは美術館だったので安心した。

『鑑定人と顔のない依頼人』は満員だったし、2つの展覧会も都現美にしてはずいぶん入っていた。特に若い人が多かった。それが私の心に響かないとは、もはや自分の方が世の中についていけなくなったのかもしれないが。

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