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2014年2月 7日 (金)

『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』に父を思う

2月28日公開の『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』は、先日ここに書いた『8月の家族たち』と同じく複数のアカデミー賞ノミネート作品で、設定もよく似ている。アメリカのド田舎で老人を中心として家族が集まり、過去の秘密を語ってゆくという運びだ。

ところが、映画の質感は全く違う。『ネブラスカ』は白黒で、最初に昔の白黒のパラマウントのロゴが出てきて驚く。高速道路を一人でトボトボと歩く老人が写る。

こちらの映画は『8月の家族たち』に比べると、豪華キャストではない。むしろ素人に近いような田舎のアメリカ人が大勢出てきて、その顔や行動のおもしろさで唸らせてくれる。

物語の中心は、大酒飲みの老人が100万ドルを当たったというニセの手紙を信じて、モンタナ州の自宅からネブラスカ州のリンカーンまで取りに行こうとする話だ。妻はそれを止めるが、何度も行こうとするので、結局次男がついて行く。老人と息子のロードムービーが始まる。

途中でホーソーンという老人の故郷に立ち寄るが、そのあたりから抜群におもしろくなる。そこで老人の兄の家に泊まるが、老人の妻や長男もやってくる。100万ドルを当てたという話を聞いて集まる親戚たちの姿が、何ともおかしい。

かつて老人と結婚するはずだったという女性まで現れる。彼女は老人が朝鮮戦争で苦労した話をする。そして老人が妻と結婚した経緯も明らかになってゆく。あるいは家族揃って、老人がかつて住んだ家を訪ねる。あばら家だったが、老人の記憶が蘇る。

いろいろあって、結局ネブラスカには行くのだが、最後にはちょっと洒落た結末が待っている。そこまで来ると、老人の生きてきた人生が何となく浮かび上がってくる。

見終わると、ああ自分は父のことを理解していたのだろうかと、ふと我に返る。私の父も大酒のみで、頑固親父そのものだった。もう20年以上前に亡くなったが、彼の考えていることは皆目わからなかった。その後悔がいつまでも後を引くような、じんわりと伝わってくる秀作だった。

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