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2014年2月14日 (金)

「メディア芸術祭」と「恵比寿映像祭」の見せる「映像」

現在、都内で「映像」をめぐる大きなイベントが2つも開かれている。1つは16日まで開催の国立新美術館の「文化庁メディア芸術祭」で、もう1つは東京都写真美術館で22日までの「恵比寿映像祭」。ともに「映像」がテーマだが。

私は一応大学で映画を教えているし、美術にも長く携わってきたので、現代美術の中の「映像」も長年見てきた。それでも、毎年この2つの展覧会の「映像」には戸惑う。

一言で言うと、おもしろくない。映画に比べて、単なる思い付き程度の作品が多過ぎる。この2つの展覧会を今年も見たが、いつもながら公募形式の「メディア芸術祭」の方がまだましだ。

「メディア芸術祭」は「アート」「エンタテインメント」「アニメーション」「マンガ」に分かれる。今年は例年に比べて「アート」部門が弱かった。大賞の2作品よりも、ビデオテープを上から垂らしてためてゆくインスタレーション「時折織成」が心に残った。

その分「エンタメ」部門が良かった。アイルトン・セナの走行を残されたデータから再現する「Sound of Honda」とか、人工的にハエを作った「lapillus bug」とか、部屋の中のコマ撮りとアニメを組み合わせた「Relaxing」とか、見ていて楽しい。

「アニメ」と「マンガ」はこうした展示には不向き。「アニメ」の『エヴァンゲリオン新劇場版:Q』や『サカサマのパテマ』は映画館でやっているし、その一部を見せても意味がない。フランスの『はちみつ色のユン』は、アニメとドキュメンタリーを組み合わせて、幼い頃フランスに養子縁組された韓国人を扱ったもので、全編を見たいと思った。

「恵比寿映像祭」は例年にも増して、見るものがない。90年代に流行ったポストコロニアル風の映像ばかりで、20年遅れている。あえて言えばD・ホックニーの映像展示と「最後の無声映画」という絶滅言語を扱った映像くらいか。

昨年、この2つをWEBRONZAに書いた時、予算を聞いて驚いた。「メディア芸術祭」が2億円強、「恵比寿映像祭」が、9千万円強。合せて3億円を越す。この予算は国と都が東京国際映画祭に出している金額を大きく上回る。退屈な展示を見ながら、どうにかならないものかと改めて思った。

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