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2014年2月27日 (木)

『イヌミチ』に期待するも

3月22日公開の万田邦敏監督の新作『イヌミチ』を見た。前作『接吻』(08)が強烈な印象を残したので、ぜひ見たいと思った。レイトショー公開なので、早寝早起きの私には劇場では無理だし。

チラシにも書かれている「首輪をはめたら、「自由」になれた。」というキャッチにも惹かれた。仕事や生活に疲れた女性が、偶然会った男性のイヌとして暮らす話だというからおもしろそうではないか。

感想を一言で言うと、期待したほどではなかったという感じか。出だしはおもしろいが、中盤からの展開にあまり驚きがなく、ラストのコンパクトな収まり具合にはちょっとがっかりした。昔の前衛芝居を思わせるような象徴性と言うか。

イヌを演じる永山由利恵が、エサ用の容器に顔を突っ込んで食べるシーンや、飼い主役の矢野昌幸が勤める携帯電話会社の上司に噛みつく場面など、見ていておかしいところはいくつもあった。しかし、それらが『接吻』のような狂気には結びつかない。こちらの期待が大きかったせいもあるが。

もちろん撮影は丁寧だし、部屋の中だけの飼い主とイヌのドラマを、長回しで舐めるように撮っているのは見ごたえがある。それは俳優たちの動きや視線が自然で、するするとつながってゆくからかもしれない。

俳優は映画美学校卒や学生が中心のようだが、とりわけ飼い主役の矢野昌幸がダメ会社員の異常さを出していてよかったと思う。

これは映画美学校のコラボレーション作品という。最近、大学や映画学校で多くの監督たちが教えているせいか、こうした作品が増えた。大森一樹、石井岳龍(聡互)、黒沢清、篠崎誠など。しかしどれもそれまでの作品に比べると、一段落ちるように思える。監督が実際の現場を学生に体験させるのだから、教育としてはいいのだろうが。監督が先生になるのがいいのかどうか、微妙な問題だ。

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