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2014年2月11日 (火)

それでもウディ・アレン

5月10日公開のウディ・アレンの新作『ブルージャスミン』を見た。もうアカデミー賞関係は見るつもりはなかったが、見た後でこの映画も「脚本賞」「主演女優賞」「助演女優賞」の3部門ノミネートだと知った。そんなに良かったかな。

ウディ・アレンは毎年1、2本づつ作っているが、だいたい見ている。この数年で一番好きだったのは『それでも恋するバルセロナ』(08)。『人生万歳!』(09)のブラック・ユーモアも良かった。要はバカバカしいコメディがいい。『ローマでアモーレ』(12)は、ドラマは散漫だったが、本人も出てきておかしかった。

さて今度の『ブルージャスミン』はというと、それらに比べて相当暗い。ケイト・ブラシェット演じる女性ジャスミンは、すべてを失って妹ジンジャーの住むサンフランシスコの家に身を寄せる。ジャスミンは金持ちでハンサムな実業家と結婚してニューヨークでセレブな生活を送っていたが、相手は詐欺罪で逮捕されたうえ、自殺していた。

映画は、人生のどん底から這い上がろうとするジャスミンの毎日を描く。一瞬ごとに蘇るセレブな日々。もちろんウディ・アレンだから、随所で笑わせてくれる。ダサい妹が庶民的でいい感じだし、彼女の前の夫も今度の恋人もその友人まで、顔を見ているだけで笑える。あるいはジャスミンが働く歯科医院の医師も、もう抜群におかしい。

それでも自尊心が捨てられないイタい女性が、過去ばかり思い出す毎日は見ていてつらい。その単調な展開が盛り上がったのは、中盤のパーティでジャスミンとジンジャーがそれぞれ「理想の男性」に出会うところから。いかにも絵に描いたようないい男たちだが、もちろんそれがそのままうまくいくわけはない。

とにかく1時間半余り、クスリとアルコールを飲み続け、悩みに悩んで涙ぐむケイト・ブラシェットをずっと見ていた感じ。それはそれで楽しかったのは、これは映画なのだ、というウディ・アレンならではのフェイクな感じがあったからだろう。

実はこんな女性は、今まで何人か見てきた。金持ちの夫を自慢しながらセレブのつもりで生きる女たち。なかにはジャスミンと同じように、ダサい名前を変えた女性もいた。たぶん世界中にいるのだろう。ユーミンの歌も、そんな女性たちとどこかでつながっている。この映画を見て「わかる、わかる」という女性は、案外多いのでは。

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