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2014年2月 2日 (日)

六本木ヒルズの展覧会2本

来週火曜に都内某所で講演をやることになり、その準備をしていたが、夕方になって煮詰まって外に出た。そんな時は展覧会がいい、ということで六本木ヒルズで始まったばかりの「ラファエル前派展」と「アンディ・ウォーホル展」を見た。

あのビルは53階を降りると、展覧会のスペースが2つある。森美術館は美術館の独自企画、森アーツセンターは新聞社などの持ち込み企画用貸し会場だということを、どれだけみんなは知っているだろうか。だから「ONE PIECE」展などをやるのは、森アーツセンターの方だ。

なぜそんなことを書いたかというと、「ラファエロ前派展」は別に美術館の企画でもおかしくないと思ったから。出品作品はすべて英国のテイト美術館。いわゆる「〇〇美術館展」だが、テーマがしっかりしていて代表作が揃っているので、会場は国立新美術館でも東京都美術館でもありだ。もっともこの2つは貸し会場をやってはいるが。

「ラファエル前派」というのは、その名前を聞くと難しそうだ。ところが中身は日本人になじみやすい。顔が小さくて青い目や鼻や唇がくっきりと描かれた長髪の美女が、愁いを帯びた恍惚の表情で一点を見つめている。まるで少女マンガのような、ロセッティやバーン=ジョーンズのそんな絵は、実は一歩踏み込むと難解な印象派よりも日本人好みだろう。

「ラファエル前派」というのは、1948年にロンドンで結成された「ラファエル前派兄弟団」から来ている。ルネサンスの巨匠ラファエロを規範としてその形式を踏襲する当時のアカデミズムに反抗し、ラファエロ以前の素直で素朴な絵画を目指した20歳前後の若者たちが作った運動らしい。

ミレイやロセッティがその中心だが、今その絵を見ると、どこが素直で素朴か不思議に思える。神話や歴史を題材に、ひたすら美女ばかり描く。展覧会ではそのモデルの女性を巡って、「兄弟団」のなかでいくつも三角関係があったこともご丁寧にパネルで説明してあって、おもしろい。

これがそのまま三菱一号館美術館の「ザ・ビューティフル」の唯美主義に繋がってゆくのだが、そのロマンチックな物語性や装飾性は、私にはおよそ近代絵画と逆の方向に行っている倒錯的な運動にしか見えない。やはりイギリスはわからない。

この展覧会は4月6日まで。「ウォーホル展」は後日書くが、5月6日まで。どちらも混んでいるので早めに見た方がいい。ところで、映画は封切りしてすぐが混んでていて、展覧会は会期の後半が混むのはなぜだろうか。

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