『ラッシュ/プライドと友情』に涙する
小さい頃、『巨人の星』や『明日のジョー』のようなスポ根ものが好きだった。そのせいかどうか、『ラッシュ/プライドと友情』の予告編を見た時、どこか気になった。そして、映画会社に勤める友人からおもしろかったというメールが来たので、劇場に足を運んだ。
予告編で、ダニエル・ブリュールとアレクサンドラ・マリア・ララがドイツ語で話していたことも、見た理由かもしれない。ドイツ映画祭やイタリア映画祭をやっていたせいで、この2つの国の俳優はアメリカ映画に出ていても気になる。
映画は、想像以上に良かった。何と言っても、実在のF1レーサー、ニッキー・ラウダを主人公に、ライバルのジェームス・ハントとの確執を1974年から76年に絞って再現した脚本がうまい。すべて事実に基づきながらも、盛り上がるところはじっくり見せる。
ダニエル・ブリュール演じるニキ・ラウダは、ドイツ語なまりで、いつもまじめで冷静。対するクリス・ヘムズワース演じるジェームス・ハントは、女好きで人生を楽しむ。しかしお互いを認め合っている感じが良かった。
76年の世界各地でのレースは、凄まじい迫力。タイヤの低い位置や運転席からのカメラが至近距離でレースを見せ、エンジンの音やテレビのナレーション、音楽などが鳴り響く。そして事故があり、ニキ・ラウダがそれから42日後に立ち直って出たモンツァのレースのゴールでは、そこにいる観客と一緒になって涙してしまった。
最後の決着が、日本の富士レースというのも驚いた。雨をあれほど悪魔的に描いた映画はなかなかない。日本でのロケではないようだが、日本らしさをうまく散りばめていた。
『アメリカン・ハッスル』もそうだったが、これも1970年代を舞台にした実話もの。長髪でラッパズボンが何とも懐かしかった。
ラウダは妻とはドイツ語で語るし、彼が雇われる時のフェラーリの記者会見はイタリア語。ロン・ハワード監督は、『ダ・ヴィンチ・コード』のような失敗作でもそうだったが、ロッセリーニ的な言語への忠実さがあるようだ。フェラーリにラウダを勧めたドライバー役に、イタリアの名優ピエルフランチェスコ・ファヴィアーノがいたのも嬉しかった。
さてスポーツ映画には涙したが、それに比べるとたまに見るオリンピックの映像は何がいいのかわからない。というより、テレビのアナウンサーやコメンテーターがウザくて見てられない。
| 固定リンク
「映画」カテゴリの記事
- 『霧のごとく』の重さ(2026.06.07)
- 金子修介『無能助監督日記』を読む(2026.06.05)
- 『サンキュー、チャック』のカール・セーガン(2026.06.03)


コメント