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2014年3月 8日 (土)

84歳のホドロフスキーに笑う

ここに何度か書いたように、特別な人が出てくるドキュメンタリーはおもしろい。今回見たのは、6月16日公開の『ホドロフスキーのDUNE』。東京国際映画祭で上映された時に、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の実現に至らなかった映画DUNEの話と聞いて、見たいと思っていた。

これがめっぽう面白い。DUNEと言えば、デヴィッド・リンチの『デューン/砂の惑星』(84)が有名だが、ホドロフスキーは、75年頃同じ原作で映画化を準備していたという。

それがスタッフもキャストも決まっていて、分厚い絵コンテ本までできていたのだから驚きだ。ホドロフスキーは、その本をめくりながら、準備の過程をまるで昨日のことのように、ありありと語る。そして話しながら興奮してゆくのがおかしい。

キャストには何とダリ、ミック・ジャガー、オーソン・ウエルズなどが出演を了解していたという。それぞれを口説き落とす場面の話がおもしろいが、オーソン・ウエルズと会ったのはパリの高級レストラン。彼の行きつけの店を調べて出かけ、彼の一番好きなワインを店に聞いて自分からとボトルを持って行かせた。

ウエルズは喜んでテーブルに招いたので「映画に出て欲しい」。ところがもう映画には出たくないと言うので、「希望通りの出演料と別に、このレストランのシェフを撮影中に雇う」と言ったら快諾したという。

ダリを説得する話はもっと込み入っているが、この映画には嘘か本当かわからないような話が詰まっている。スタッフでは、『2001年宇宙の旅』の特殊効果をやったダグラス・トランブルに頼みに行くと、会話中に相手が40回も電話に出るので、怒って帰った話とか、ピンク・フロイドに「世界を変える映画の話をしているのにビッグマックなんか食べるな」と怒鳴って仲良くなった話とか。

後半、その絵コンテ本を持ってハリウッドに乗り込み、次々に断られる経緯が語られる。フランス人プロデューサーは企画はいいから、監督を変えろと何度も言われたという。確かにホドロフスキーは1時間半の映画にしろと言われて、「12時間か20時間の映画だと言い張った」と自慢げに話しているから、彼なら当時の予算の1500万ドルでもできなかったかもしれない。

最後に彼のアイデアがその後の『エイリアン』を始めとするSFにいかに生かされたかが語られる。それを含めてどこまで本当かわからないが、とにかく最後まで楽しかった。実を言うと、私はホドロフスキーの『エル・トポ』などは、思わせぶりで学生時代はあまり好きでなかったけれど。

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