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2014年3月28日 (金)

『LIFE!』の心地よさ

マスコミ試写に行って、満員で入れないことがたまにある。『グランド・ブダペスト・ホテル』の1回目の試写に上映20分ほど前に行ったが、満員という。入口でフォックスの社員(たぶん)が、6名ずらりと並んで謝っていたのが妙だった(そのうえ顔は嬉しそうだった)。

このまま家に帰るのも気分が収まらないので、そこで近くのシネコンで『LIFE!』を見た。予告編がおもしろそうだったし、名作『虹を掴む男』(1947)のリメイクというのも気になっていた。

原題は『虹を掴む男』もそうだが、"The Secret Life of Walter Mitty"(ウォルター・ミティの秘密の人生)。ところが今回の映画化は前作と全く違う。主人公の空想癖は同じだが、置かれた状況が何とも今風だ。ウォルター(ベン・スティーラー)は、デジタル化に向けてリストラ中の「LIFE」編集部の写真整理担当。

最終号の表紙となる写真が見つからず、ウォルターは写真家のショーン・オコンネルを探して、アイスランドやヒマラヤに向かう。そこに彼が好きになった会社の同僚や家族の物語が挟み込まれる。

正直言って喜劇なのか人間ドラマなのかよくわからず、見ていて面喰った。やたらにウォルターの妄想が映像で見せられるのも疲れた。そのうえ、ヒマラヤなどを巡るのも妄想の続きのようでもあるし。ところが見ているとだんだん心地よくなる。

一つにはマスコミのリストラの話なので、自分には今でも他人事ではないテーマだ。2つ目に主人公の母親役にシャーリー・マクレーンがあいかわらずの笑顔で出てきたり、写真家役で出てくるショーン・ペンが何とも渋い演技を見せたりするのが楽しい。3つ目には、ウォルターが上司を見返し恋も実りそうというクラシックなハッピーエンドだから。

いずれもちょっと古めかしい良さで、今風のめまぐるしい映像とどこか齟齬があった気がする。パンフレットを読んでいたら、主演兼監督のベン・スティラーが「ウェス・アンダーソンが作るような映画を作りたかった」と述べているのを読んで納得した。ウェス・アンダーソンならば、もっとぶっ飛んだとぼけた感じに仕立てただろう。考えてみたら見損ねた『グランド・ブダペスト・ホテル』は、こちらの監督の映画だった。そのうえ『LIFE!』もフォックスの映画だし。やはり、世の中はつながっている。

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