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2014年3月 6日 (木)

入試の合間の読書:『脳内麻薬』

最近、本を買うパターンの1つに、新聞の広告を見てアマゾンで買うというのが増えた。中野信子著『脳内麻薬』もその1冊。副題は「人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体」だが、手にして驚いたのはそのオビ。

ちょっとエキセントリックな感じの美女の大きな写真があり、「あなたは「気持ちよさ」について何も知らない」と書かれている。そしてその美女の著者の略歴が書かれているが、東大医学部博士課程修了で、著書多数。テレビにも出ているらしいが、どこかで教えているという記述はない。

これだけでも十分に怪しいが、本はペラペラに薄く、内容もさまざまの依存症がドーパミンから来ることを解説しただけだった。それでもおもしろかったのは、麻薬もアルコールもセックスもギャンブルもオンラインゲームもみな根は同じという主張。

さらにそれは努力が報われた時の幸福感とも根本は同じで、その快楽物質は「頑張っている自分へのご褒美」という。違いは生理的報酬か社会的報酬か。だから努力家も1つ間違えば依存症になる。これは何かわかる気がする。

いくつかの興味深い指摘がある。アルコールは「報酬系」の神経を直接的に刺激するから依存症になる。空腹の人が最初の一口を食べる時にドーパミンは最大になり、その後減っていくという。私のように食事の最初にやたら酒を飲み、食べたがるのは、ドーパミンの分泌が多いのか。

そういえば雑誌を読んでいたら、藤田紘一郎という免疫学者が、バカな脳にだまされれず、賢い腸をいたわる食事をすることを説いていた。「脳は性欲と食欲に忠実で快楽が大好き」。要は、50歳以上は脳の指令は無視して、炭水化物や糖を押さえ、肉、野菜を食べて運動した方がいいらしい。

バカな脳という考えは、中野氏のドーパミン理論と重なる。最もバカな例が麻薬やギャンブルなのだろうが、酒や食欲も物欲も性欲もその途上にあるというのは、ちょっと恐い。世の中にドーパミンが溢れているように見えてきた。あるいはそれは自分だけか。

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