« 河村黎吉の役柄をめぐって | トップページ | 『バチカンで逢いましょう』の幸福感 »

2014年3月10日 (月)

『ダラス・バイヤーズクラブ』の気持ちよさ

今年のアカデミー賞で主演男優賞と助演男優賞、さらにメイク・ヘアスタイリング賞の3部門を受賞した『ダラス・バイヤーズ・クラブ』を見た。主演のマシュー・マコノヒーがすごいという評判をアチコチで聞いたのも見た理由。

彼は最近『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の前半で、脇役だが実に印象的な証券マンを演じていた。今度は余命わずかのカウボーイだという。

見てみると、確かにこれはマコノヒーの映画だ。冒頭で、ロデオの賭けで小銭を稼ぎ、酒と女とドラッグにつぎ込んで刹那的な人生を送る彼の姿が写る。倒れて病院に運び込まれてエイズで余命1ヶ月と宣言されても、全く気にしない。

この映画がおもしろいのは、このいい加減な男が独学でエイズについて学び、1980年代後半の米国の医薬品制度に逆らってゆくところだ。真面目になったのかと思いきや、彼の目的は金を稼ぐことで、外国から仕入れた未認可の治療薬を、会員制で希望者に頒布する。これが「ダラス・バイヤーズクラブ」となる。

かつては刹那的な生き方をしていた男が、金儲けをしながらも製薬会社や腐敗した医者、FDA(食品医薬局)を相手に戦い、裁判までするのだから、見ていて快哉を叫びたくなる。それに加えて彼を助けるメキシコに住む医者や、地元の女医で彼に同調するイヴといった脇役がいい。

さらに彼がビジネスパートナーとして選ぶゲイのレイヨン(ジャレッド・レト)の存在感が圧倒的だ。こんな役ができる俳優だとは思わなかった。

マコノヒーが薬を求めて日本に来るシーンがある。インターフェロンを販売していた岡山の林原に行くのだが、ここはアメリカで撮影したせいか、かなりいい加減でおかしかった。

マコノヒーに密着したドキュメンタリーのような作りが、映画のテーマにぴったり。監督はジャン=マルク・ヴァレ。フランス風の名前だと思ったら、カナダの監督らしい。最近はカナダの監督の活躍が目立つ。

この映画を見ながら、90年代にエイズで死んだフランスの友人2人のことを考えていた。今ならもう助かる薬はあるのだろうか。

|

« 河村黎吉の役柄をめぐって | トップページ | 『バチカンで逢いましょう』の幸福感 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/59264444

この記事へのトラックバック一覧です: 『ダラス・バイヤーズクラブ』の気持ちよさ:

« 河村黎吉の役柄をめぐって | トップページ | 『バチカンで逢いましょう』の幸福感 »