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2014年3月30日 (日)

リヨン料理の現在

フランスの真ん中あたりにリヨンという街がある。映画好きなら、リュミエール兄弟が映画を発明した街として覚えているだろう。一般にはここは何より美食の街として知られる。ポール・ボキューズなどの有名シェフの店がたくさんあるから。

東京にもリヨン料理を名乗る店がいくつかある。これまで行ったのは、神楽坂の「ルグドゥム・ブション・リヨネ」、銀座の「サラマンジェ・ド・イザシ・ワキサカ」に「ブション・ドール」。

どの店もいわゆるリヨン料理を出す。牛の胃にパン粉を付け焼いた「タブリエ・ド・サプール」、豚の血と脂身の腸詰め「ブーダン・ノワール」、豚などの臓物を詰めたソーセージ「アンドゥイエット」、カワカマスをすりつぶし、卵やパン粉を混ぜて蒸した「クネル」といったところ。「クネル」を除くと、日本人には重い料理が多い。

一番感激したのは「サラマンジェ」。去年の1月に虎の門から移転したが、リヨンで学んだ脇坂尚シェフの伝統的でありながら軽やかな味は健在だ。カウンターの席しかなかったが、ここから縦長の厨房が丸見えで最高に楽しかった。

まず、「仏産白アスパラのオレンジ水サバイヨン・ソース」は、何とアスパラガスの皮を削ぐところから始まる。ソースをかけてグラタンにして出来上がりだが、食感が生きている。次に「カキの5分間スモークトマト水のジュレ」も、スモークした香りが抜群。さらに前菜で「ブーダン・ノワール」。これはリンゴやバナナを入れたソースで爽やかな味。

メインは「ブフ・ブルギニョン」と「鴨のジャンボネット」。「ブフ」は牛ほほ肉の赤ワイン煮だが、これまたなぜか重くない。そしてブルゴーニュワインの香りが効いている。「鴨のジャンボネット」はここの名物だろう。鴨のもも肉の骨を抜いて詰め物をしてコンフィにしたもの。それがポトフのようなスープに立っている。リヨン料理を研究し尽くして、自分流に軽めにアレンジした料理の数々は見事というしかない。

これに比べると、ほかの2軒は問題にならない。「ルグドゥノム」は雰囲気は抜群。まるでリヨンの旧市街にあるような二階建てで、ひげを生やして太ったフランス人のオーナーが迎えてくれる。料理もまさに伝統的なものばかりだが、見た目がいい割にはどこか印象に残らない。料理が素早く出てくるのはいいのだが、大量に作り置きしたものに火を入れて出しているのではないか。

「ブション・ドール」は気楽な居酒屋風の店で、大味だがどれも安くてうまい。なかでもクネルやバベットのステーキが水準以上だった。大人のグループの宴会にぴったりの店。場所も銀座四丁目交差点そばで便利。

ちなみに「ミシュラン」では「ルグドゥノム」が一つ星、「サラマンジェ」は星なし、「ブション・ドール」は載っていない。やはりおかしい。

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