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2014年3月29日 (土)

区立美術館の健闘:渋谷、練馬、世田谷など

市立ではなく、区立の美術館があるのはたぶん日本だけだ。パリに美術館は多いが、例えば5区立美術館はない。日本では80年代以降雨後の竹のように全国に美術館ができて、東京には区立もいくつもできた。これがかなり健闘している。

先日ここで渋谷区立松濤美術館の「ハイレッド・センター展」のことを書いたけれど、最近見に行ったのは練馬区立美術館の「野口哲哉展」と世田谷美術館の「岸田吟香、劉生、麗子」展。どちらも4月6日までの開催だが、見ごたえがあった。

野口哲哉展は、1980年生まれの作家の美術館で初めての個展という。つまりは現代美術なのだが、これが抜群におかしい。副題は「野口哲哉の武者分類図鑑」で、サムライの姿を現代風に解釈して絵画や立体で見せるものだ。

南蛮渡来のシャネルのマークを家紋とした甲冑をまとったサムライの立体があったりして、もちろん無茶苦茶なのだが、それが実は現在残っている甲冑や絵巻物を丹念に調査したうえで作られている。そのうえ、会場には東京国立博物館などから借りてきた本物の屏風や巻物も展示されているので比べられる。

確かに野口の樹脂やプラスチックで作った立体とそれらの本物を同時に見ると、サムライが実に奇妙な存在に見えてくる。毎日何をして暮らしていたのかと、真面目に考えたくなってしまう。

会場はいかにも普段着の付近の人で賑わっている。そして精巧に作られたニセサムライのフイギュアを覗き込んで「お侍さんも大変だったんだねえ」などと話していた。偶然に館長のWさんと会ったら、想定の2.5倍入っているとのこと。

最近の映像を中心とした現代美術が苦手な私も、思わず身を乗り出して見てしまった展覧会だった。若手の大きな個展をポンとやれるところも区立らしいし、そこに東博などから本物を借りてきて組み合わせたのは学芸員の力だ。

「岸田吟香、劉生、麗子」展は、「麗子像」で知られる画家、岸田劉生の父親と本人、娘の麗子の3人に光を当てた貴重な展覧会。これについては書く余裕がないが、とりわけ吟香の幕末、明治の部分が興味深かった。

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