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2014年4月10日 (木)

もう1つの1961年アメリカ:『ウォルト・ディズニーの約束』

昨日、1961年アメリカの暗い青春を描いた『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』について書いたが、また同じ年のアメリカを描いた映画を劇場で見た。ジョン・リー・ハンコック監督の『ウォルト・ディズニーの約束』で、こちらはひたすら明るいハリウッドのディズニースタジオを描く。

映画『メアリー・ポピンズ』の制作秘話というので関心があったし、ある信頼している友人から脚本がいいと聞いて見る決心をした。映画史を巡る映画はどうしても押さえたいし。

出来は中くらいで、私には脚本はあまりいいと思えなかったが、十分に楽しんだし個人的におもしろいところもあった。ロンドンに住む「メアリー・ポピンズ」の原作者P・L・トラヴァース(エマ・トンプソン)は、映画化の交渉のためにハリウッドのウォルト・ディズニーを訪ねる。交渉は難航するが、ディズニーは彼女の心を溶かしてゆく。

トラヴェースがあらゆることに難癖をつけている合間に、彼女の少女時代の回想が入る。それが「メアリー・ポピンズ」の基になったからだが、前半はその繰り返しで単調。後半になって名曲の数々が作曲されて、トラヴェースが次第にそれに乗ってくるあたりになると楽しくなる。彼女の専属運転手が娘の話をするくだりも忘れがたい。

当時のハリウッドのスタジオが再現されているのも良かったし、トム・ハンクス演じるウォルト・ディズニーがトラヴァースをディズニー・ランドに案内する時の、当時の観客の服装や遊戯もいい感じだ。ディズニーが無理やり乗せるのは回転木馬だし。トラヴァースがロスの空港に着いた時の、JALやSASやTWAなどのロゴが並ぶ様子も懐かしかった。

個人的におもしろかったのは、「気難しい外国人」の話だったこと。私は昔美術展の仕事をしていた頃、気難しい外国の美術館の館長や著作権者に手を焼いたことが何度もあった。どうにか気に入られようとホテルに花を置いたり夕食を工夫したりいろいろ策を練るが、なかなかうまくいかなかった。とりわけマグリットの著作権者ときたら。そんな経験を思い出しながら見た。

もう1つは、私自身がディズニーの世界があまりわからないので、エマ・トンプソンのディズニー嫌いが見ていて楽しかった。ホテルの部屋に着くと部屋中にミッキーのぬいぐるみが飾ってあり、彼女はそれを見て嫌な顔をして、一挙に押し入れに入れてしまう。ディズニー本人からディズニーランドを案内したいと言われて、「あんな金儲けのマシーン(dollars printing machine)は見たくない」と言い放つ。結局は行ってしまうのだけれど。

この映画は終わりのクレジットが出始めてからも目が離せない。当時のディズニーとトラヴァースの写真などが出てくる。極めつけは当時の交渉の録音テープ。トラヴァースの声に震えてしまった。

もう1つ。私は浦安のディズニー・ランドに昔から興味がないが、一度だけ行ったことがある。その話は後日。

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