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2014年4月 8日 (火)

不倫はフランスの国技か

先週の仏誌「ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール」を読んでいて、「不倫ビジネス」という見出しの記事があった。キャッチは「騙せるなら騙して」で、リードが「最近の調査によれば国民的スポーツとも言える不倫は、多くのネットビジネスを生んでいる」

国民的スポーツとは、つまりは国技。日本ならまず相撲だろう。フランスだと不倫が国技というのは、同じ裸になって汗をかく行為でもだいぶ違う。「最近の調査」というのは、この1月にアメリカのシンクタンクが実施したものらしく、不倫を道徳的に許しがたいとしたフランス人は47%で、これは調査した39ヶ国のうち最低だったという。

あるいはフランス人女性の3人に1人は、機会があれば不倫に走るらしい。こんな調査は方法や質問が微妙に国ごとに違うので一概には信じられないが、それでも大方の日本人のフランス人に対するイメージから遠くはない。

そんなことを考えたのは、4月19日公開の『ある過去の行方』をDVDで見直す機会があったから。この映画は、離婚調停のために4年ぶりにフランスを訪れたイラン人のアーマドが、妻のマリー=アンヌと再会するさまを描く。そこでポイントとなるのは、マリー=アンヌには既に新しい恋人のサミールがいて、そのサミールは既婚で妻は植物人間状態という設定だ。

つまりはダブル不倫だが、マリー=アンヌはアーマドの前にも別の男がいてその子供もおり、この映画を見ていると女性の方がより自由な感じがする。もちろん子供達はそのことを嫌がり、それがこの映画のドラマとサスペンスを作り出す。

監督のアスガー・ファルハディは『彼女が消えた浜辺』や『別離』で知られるイランの巨匠だが、今回初めてフランスを舞台にフランス語で撮っている。そこで、これまでイランで撮った映画にはなかった「不倫」を取り上げて、フランス人以上にリアルに描いているのが、見どころの1つだろう。

つまり、外国人監督ならではの視点だ。そういえば、「移民」というのもこの映画の大きなテーマで、これまた外国人ならでは。アーマドはイラン人、サミールはたぶんアラブ系2世、そしてサミールの下で働くナイマはアクセントが強くアラブ系のようだが、いずれにしろ「不法労働」というセリフが出てくるから、これまた外国人。重要な役割を果たすアーマドの友人夫婦はイラン人だが、彼ら同士ではイタリア語を話している!

話しがずれたが、映画において外国人監督ということは大きな意味を持つとつくづく思う。

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