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2014年4月11日 (金)

本屋の夢

先日、自由ヶ丘でアニメーション監督の山村浩二さんが昨年末に始めたショップに行ってみた。その名もAu Praxinoscope オー・プラクシノスコープ!プラクシノスコープとは、フランスのエミール・レイノーが、1995年の映画発明以前に作ったアニメの原型のことだ。

なだらかなスロープを下った地下のお店の入口には、そうしたアニメの原型のおもちゃが並ぶ。ゾーエトロープやフリップ・ブック、ソーマトロープ等々。プラクシノスコープもある、と思ったらそれは非売品とのこと。

その奥には輸入した本を中心に、アニメ関連の本がずらりと並ぶ。右側には、これまた世界のアニメのDVD。山村さんを始めとして日本の現代作家のDVDもある。そして奥には小さなギャラリー。そこではエストニアのアニメ作家、プリート・パルンの原画展を開催していた。

全体でたぶん100平米もない小さなスペースだし、毎週土曜と第1日曜の午後しか空いていないが、そこは良質のアニメを広めようという山村さんの夢が籠ったような、居心地のいい空間だ。私が訪ねた時は、去年の学生の映画祭でお会いした奥様がたまたま店番をされていたので、ご本人まで出て来られて恐縮(+感激)してしまった。何といっても、世界中のアニメ映画祭でグランプリを取って、アカデミー賞にノミネートされた方である。

私は昔から本が好きで、それ以上に本屋が好きだった。30年ほど前にパリにいた頃は、よく映画専門の古書店に通って何時間も過ごしていた。映画専門の本屋を開くことは、今でも私の夢だ。そういえば、今度『赤鉛筆、青鉛筆』が公開されるイタリアのジュゼッペ・ピッチョーニ監督は、ローマで映画の本屋を開いている。

小さなカフェが併設されていて、夜は酒も出す。プロデューサーや俳優など映画関係者の溜まり場だという。何という理想の風景だろう。日本でも昔、表参道に二階建ての映画専門の本屋があった。プレノン・アッシュという今はなくなった配給会社が経営していたはずだが、数年で潰れてしまった。

フィルムセンターも1995年に改築された時は、1階の左側のスペースは本屋の予定だったという話を聞いたことがある。ところが大手書店は「映画の本は売れません」と軒並み出店を断ったらしい。映画の本屋を開くのには土地や建物が必要だが、フィルムセンターを貸してくれるなら、今からでも私がやりたいくらいだ。

そういえば最近、写真評論家の飯沢耕太郎さんが恵比寿に「写真集食堂 めぐたま」を開いたというニュースがあった。所蔵の写真集4500冊が並んで自由に読めるという。本屋ではないが、これもまたいい。自分の好きな本を集めた空間を作るというのは、ある種の人間にとっては究極の夢なのかもしれない。

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