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2014年4月 5日 (土)

「映画はどこにある」のか

最近出た、寺岡裕治編『映画はどこにある インディペンデント映画の新しい波』を読んだ。年に200本以上スクリーンで見ているのに、公開される邦画の数は増え続け(去年591本!)、知らない日本の監督が増えたなあと思っていた。そんな気分の時に買った本。

12人の若い監督たちへのインタビューが中心だ。正直に言うと、そのうち私が作品を見たことがあるのは富田克也、深田晃司、松林要樹の3人だけ。

彼らはどのようにして監督になったのか、これまでの作品をどのように作ってきたのかを語る。それはよく読むとおかしな細部もある。例えばシネフィルだった深田監督が、映画美学校の夏期講習後にゴダールばりの映画を撮ろうとして失敗したら、全然映画を見ていない同期の女の子がすごい映像を撮ってきた話とか。

あるいはそのインタビューの間に、プロデューサーを始めとしてインディペンデント映画に係わる人々の短い文章が挟まっている。いわゆる映画界というよりも、その外で勝手に映画を作っている若者たちの姿がそこにはある。それなりに満足しているような自己充足感が、妙に新鮮ではあるが。

これは一体誰に向けた本だろうか。表紙はイラストだし、中は写真をふんだんに入れて、1ページに数回太字が出てきて、たっぷり注をつけてある。大胆なレイアウトといい、全体として劇画調で、インディペンデント志向の若者に向けて作られたのだろうか。

そのせいか、おじさんの私にはあまりおもしろくなかった。個々のグダグダの話はどうでもいいし、そんなに満足ならば一生マイナーでいればいい。インディペンデント映画なんて、いつの時代にもある。自分が知らない世界があるかと思って読んだ私がいけないのかもしれないが。

いずれにしても、この中からたぶん何人かがメジャーな監督になってゆくことだろう。そういえば、ここに出てくる監督たちは、普通に映画を大学で学んだ者が少なく、あえて学校を挙げると映画美学校出身が多い。あるいは東京芸大大学院。その「迂回の人生」の感じが、この本のトーンかもしれない。そこが「迂回の人生」を歩まなかった(ような)私には合わないのだろう。ただ題名の「映画はどこにある」と聞かれた時に、「ここにある」と言えるのかどうか。

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