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2014年4月30日 (水)

そしてイタリア映画祭は続く:その(2)

ようやくイタリア映画祭の会場に行った。見たのは、シルヴィオ・ソルディーニ&ジョルジョ・ガリーニ監督『多様な目』とジョルジョ・ディリッティ監督『いつか行くべき時が来る』の2本で、いずれも日本公開作がある監督の新作。

ソルディーニ監督は『ベニスで恋して』で有名だが、その後も『風の痛み』は公開されたし、イタリア映画祭では何本も上映された常連。最近はちょっとパワーが落ちたなと思っていたら、今度は別の監督と組んでのドキュメンタリーという。

そのうえ、視覚障害者10人へのインタビューが中心だ。ソルディーニらしい物語展開の面白さを封印しながらも、対象に寄り添ってゆくリアリズムは健在だった。出てくる障害者はみな仕事をしており、空いた時間には野球やボートやスキーまでやる。

見ていて彼らのポジティブな生き方に圧倒される。そして健常者が彼らに対してどのような態度を見せるかを、ユーモアたっぷりに説明してくれる。2、3度、画面が真っ暗な状態が1、2分続く。1つは地下鉄のホームで、もう1つはボートの上だったが、その時の恐怖といったら。

94分のコンパクトな作品だが、見た後に確実に世界を見る目が変わる。目が見えない人々への偏見が、一挙に取り除かれて、想像力が豊かになった気がする。

『いつか行くべき時が来る』は、『やがて来たる者へ』が公開されて衝撃を与えた監督の新作で期待していたが、ちょっとがっかり。ジャスミン・トリンカ演じる女性が、ブラジルでボランティアをしながら自分探しをする映画だが、なぜ彼女がそうするのかがわからず、ドラマも少ないので途中で退屈してしまう。

ジャスミン・トリンカは本当に大人の美人になったと見とれたけれど、彼女が美人すぎて私はどこかでブラジルで男たちに襲われるのではないかとハラハラしながら見ていた。幸いそんなシーンはなかったけれど、イタリアで待つ母や老いた祖母のシーンも含めて、ジャスミンのエッセーを読んでいるような感じの映画だった。

この2本の共通点は、どちらもリオネッロ・チェッリというプロデューサーが製作していること。2002年に来日した時に、映画のキャリアはミラノのアート系の映画館主から始めたという話を聞いたことを思い出した。ミラノ出身らしい皮肉たっぷりの男だったが、まだ元気でやっているのかと嬉しくなった。

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