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2014年4月18日 (金)

『ローン・サバイバー』の既視感

TOHOシネマズのマイレージがたまったので、『ローン・サバイバー』を見た。無料だと、なぜか娯楽作に走る。見てみたら、この映画は娯楽というより社会派の映画だったけれど。

2005年のアフガニスタン。タリバーンのボスを殺害するためにアメリカ海軍は特殊部隊4人を森の中に送る。目標を見つけたと思ったら、そこで現地の羊飼いたちと出会い、襲撃されるきっかけとなる。

基地との通信がうまくゆかず、たった4人で何百人というタリバーン兵達と戦う。すさまじい戦闘シーンがたぶん1時間は続く。1人、1人と倒れてゆくさまを手持ちのカメラで捉えられた映像は迫力満点だが、私は最近こういう映画が増えたなあと思った。

『キャプテン・フィリップス』とか『ゼロ・ダーク・サーティ』とか、いずれも米軍の協力で作られた映画ばかりだが、いくつもの手持ちのカメラを駆使して、ドキュメンタリータッチで描いたものだ。臨場感はすごいけれど、感動というよりは、直接身体的に刺激されている気がしてしまう。この映画の監督はピーター・バーグだが、パンフによると前作の『バトルシップ』も似たタイプのようだ。

もう1つの既視感は、4人が最初に敵を見るシーン。丘の上に何百という兵士たちが並んでいるのが小さな影で見える。これは西部劇でよくあるやつで、『駅馬車』でも戦闘の前にジョン・ウェインは遠くの山にインディアンたちの影とのろしを見る。つまり、アメリカにとってタリバーンは現代のインディアンだ。

味方は少数で敵は大勢のうえ、土地勘がある。『駅馬車』では激しい戦闘の末に銃弾が尽きてあわやというところで、遠くからラッパが聞こえて騎兵隊が登場する。

ところがこの映画では辛うじて通じた無線でやってきた救助の飛行機は、敵の砲撃で1機は墜落してもう1機は帰ってしまう。米軍の完全な失態を見せるかと驚いた。その後、ローン・サバイバー、つまり唯一の生存者となる兵士は思わぬ幸運に救われてどうにか生還する。

この生存者が書いた本をもとにした映画らしく、終わりのクレジットでは4人の実際の写真も出てくる。そうでもなければ、映画としては兵士の最後の幸運は取ってつけたように見えてしまう。手に汗を握る2時間だったが、「アメリカ映画のある傾向」の1本でもあった。

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