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2014年5月19日 (月)

また清水宏へ

またフィルムセンターで清水宏の映画を見た。去年入場者数の多かった映画の「アンコール上映」で見たのは、『大佛さまと子供たち』(1952)。先週、映画会社に勤める友人から良かったというメールが来たが、去年見ていなかった。

上映30分ほど前に行ってみてびっくり。ものすごい列で、150人の小ホールでの上映とはいえ、15分前頃には満員になってしまった。

映画は、奈良の東大寺で勝手に観光案内をして小銭を稼ぐ戦災孤児たちを描く。不思議なことにお寺のお坊さんたちが出てこないし、子供たちが毎日どこに寝起きしているかも何を食べているかもわからない。その意味ではファンタジーなのだが、子供たちも彼らを可愛がるバスガイドや画家もリアルだ。とにかく少年たちも観光客も仏像に対する尊敬が大きいのに驚く。少年が「この仏像さまの腕が失われているのは、おいたわしいかぎりです」と敬語を使うくらい。

『蜂の巣の子供たち』とその続編にも出ている少年(岩本豊)がいい。顔がつぶれた感じで鼻の穴が大きい。この少年が景品の双眼鏡を手にして喜んだり、貰われてゆく友人や東京に帰ろうとする画家を見て悲しそうな顔をしたり。彼の動作の一つ一つに、子供とは思えない絶対的な無常感が表れている。

大佛の手のひらに乗せてくれると聞いて大勢の子供たちが道に広がったり、走る少年を前進移動のカメラでとらえたりと清水宏らしいショットもいくつかある。全体は漫然としたエッセーのような展開だが、最後に画家について東京に行くことになったり、その前に友人と大佛の掌に乗ったりという感動的なシーンもある。

その後、6階の展示室で「赤松陽構造と映画タイトルデザインの世界」展を見た。個性的な手書きのタイトルを作る赤松氏が作ったタイトルが並んでいる。「Hanabi」「ゆきゆきて神軍」「うなぎ」等々。どれも見事な文字ばかりだけれど、チラシでその素晴らしさはわかるので、展覧会となるとちょっと物足りない気もした。

冒頭の戦前のタイトルの凝り具合に改めて驚いたので、もっとその部分を歴史的に見たいと思った。1926年の「狂った一頁」はとんでもなくモダンだが、最初にこんなタイトルを作ったのはどの映画だろうか。

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