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2014年5月14日 (水)

『怪しい彼女』に不覚の涙

7月11日公開の韓国映画『怪しい彼女』を見て、泣いてしまった。『サニー 永遠の仲間たち』のシム・ウンギョンが主演の映画だが、こちらは見ておらず、見に行ったのは監督が『トガニ 幼い瞳の告発』のファン・ドンヒョクだったから。

ところが社会派の『トガニ』と違って、この作品は拍子が抜けるほどベタなコメディ。70歳のおばあさんマルスンは、大学教授になった一人息子が唯一の自慢で、料理や孫の教育にも手を出して嫁を苛め、勤める喫茶室でも客とトラブルを繰り返す。

そのわざとらしい芝居に面食らっていたら、ムルスンが入った「青春写真館」で写真を撮ってもらうと、なぜか20歳の自分に戻ってしまう。そのうえ好きだったオードリー・ヘップバーンにちなんで「オ・ドゥリ」と名乗る。これまたご都合主義極まりないと思っていたら、その女性は歌手として活躍しだす。

オ・ドゥリを演じるシム・ウンギョンが、服の趣味や動作や口癖に70歳のマルナンを彷彿とさせるところが絶妙だ。全く顔が違い、50歳も年の離れた2人がちゃんと同じ人間に見えるから、あら不思議。よくある1人2役ではなく、2人1役と言うべきか。

そしてシム・ウンギョンが歌うシーンが抜群にいい。コンサートを見ている観客と一緒に歌に取り込まれてゆく。とりわけ売れない孫のロックバンドのボーカルになってからの歌のシーンには、マルスンが1960年代に苦労しているショットなどが挟み込まれて、不覚の涙を流してしまった。

3、4曲の歌のシーンをたっぷり見せているのがいい。『アナと雪の女王』を思い出したが、韓国では『アナ』を抜くヒットらしく、860万人以上が見ているらしい。マルナンの生き方に、これまで長年苦労してきた韓国の戦後史を見ているのだろうか。

『トガニ』とは違って娯楽作品だが、70歳の心を持つ20歳の女性という難しい設定をよく映画化している。それに歌を聞く楽しさが加わって、何ともいい気分になる映画だ。『サニー』を見たくなった。やはり韓国映画はあなどれない。

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