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2014年5月 6日 (火)

そしてイタリア映画祭は続く:その(4)

イタリア映画祭で、同じ南部を舞台にしながら全く異なるタイプの映画を2本見た。ファビオ・モッロ監督の『存在しない南』とロッコ・パパレオ監督の『南部のささやかな商売』。どちらも見応えがあった。

『存在しない南』は、徹底したアート系の映画。不機嫌そうな短髪の高校生の娘が主人公で、魚屋の父親との暗い日常が続く。とにかく2人とも無口で、なぜ不幸なのかわからない。しばらくして不在の兄が2人を苦しめていることがわかってくる。

父親の魚屋を妨害する闇の圧力があり、終盤になってそれが兄の死と結びついていることを娘は悟る。90分の作品だが、暗澹たる日々が単調に続くので、長く感じた。撮影は丁寧だし、時おりシュールな海のシーンが挟み込まれたりするのだけれど。

カタログを見ると若手監督の1本目の長編で、カンヌやベルリンなどの映画祭からの助成金を得て完成したようだ。いかにも公的援助で作られたアート系の映画に見えるところが、この映画の弱点だろう。

『南部のささやかな商売』は、監督・主演のロッコ・パパレオが、自分が神父を辞めさせられた経緯を話すナレーションから始まる。彼は南部の故郷の島に帰るが、そこに居場所はなく、古い灯台の建物に住む。そこには、元娼婦や神父の妹の元夫などが続々と集まってくる。

みんなで食事をしたり歌を歌ったりしているうちに仲良くなり、そこをホテルに改築することになるというもの。リッカルド・スカマルチョやバブロバ・ボブローバなどのスターの歌がすばらしく、俳優たちが生き生きとしていて、演技を楽しんでいることが伝わってくる。

社会の周辺に追いやられた人々が集まって仲良くなり、大事をしでかすという構造も含めて、何とも気持ちのいい娯楽作だった。監督は俳優でミュージシャンらしいが、それがよくわかる。

結局、試写なども含めると、今回のイタリア映画祭で上映された14本のうち、9本を見た。配給の決まっている『ローマ環状線』を除くと、『自由に乾杯』『フェデリコという不思議な存在』『多用な目』『南部のささやかな商売』あたりが、今後の劇場公開が望めるのではないか。

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