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2014年6月 2日 (月)

騙されたと思って『みつばちの大地』を見ると

ある友人から「騙されたと思って『みつばちの大地』を見てみたら」と言われて、岩波ホールに見に行った。もともと動植物のドキュメンタリーに興味はないし、エコロジーは苦手だから、本当に騙されでもしないと見ないタイプの映画だ。

実際、おもしろかった。マンデラの映画ではないが、知らないことばかりでためになった。そのうえ、マンデラ以上に知らないとやばいことが一杯だ。

ミツバチといえば私は蜂蜜のことばかり考えるが、ミツバチが植物の受粉の8割を担っているという事実は知らなかった。現在、そのミツバチが世界各地で存亡の危機にあるという。もともと養蜂家の家に育ったマークス・イムホーフ監督は、その理由を追ってスイス、ドイツ、オーストリア、アメリカ、中国、オーストラリアを駆けめぐる。

アメリカではピーナッツなどの受粉のために、蜂蜜をトラックに詰めて全米を回る養蜂家がいる。伝染病対策のために、抗生物質などの薬物を使う。人工的に女王蜂だけを育て、世界中に送っているオーストリアの養蜂家。中国では、毛沢東時代に害虫駆除のために農薬を使い過ぎて蜂がいなくなり、巨大な農園で手作業で受粉をする。

殺人バチがいるという。ヨーロッパ種とアフリカ種の交配でブラジルで生まれ、中南米を経てアメリカで被害を起こしている。その蜂に砂糖水を与えて蜂蜜を作る養蜂家もいる。オーストラリアでは、伝染病にかかっていないミツバチと人工的に飼育した女王蜂を交配させ、無人島で育てる学者がいる。未来のミツバチのために。

そんな人間たちの姿の合間に、蜂の群れがアップで写る。女王蜂は十匹ほどのオス蜂と次々に交尾し、オスは直後に落ちて死んでゆく。夕焼けの空を飛ぶ蜂たちを見ていると、何だか人類が終わりに近づいているような気になってくる。

原発もそうだが、人間は資本主義の追及の果てに、いつの間にかやってはいけないことをやっている。そんな気持ちになる1本。


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