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2014年6月28日 (土)

そして園子温は続く

今、映画を学ぶ大学生に注目している監督は誰かと聞くと、園子温と三池崇史の名前が挙がってくることが多い。製作本数が多いので目立つ回数も多いが、そのたびごとに話題を呼ぶようなスキャンダラスなテーマと、シュールに近い誇張した演出がウケているようだ。

8月30日公開の園子温の新作『TOKYO TRIBE トーキョー・トライブ』も、その意味では学生たちの期待を裏切らないだろう。人気コミックの映画化で、近未来の東京の一夜に起こる闘争を描く。

冒頭に東京がいくつかのトライブ(部族)に分割されていることがわかる。ブクロ(池袋)、シンヂュク、ムサシノ、練馬で、そこを巡りつつラップにのせて歌いながら、狂言回しのように説明するのが染谷将太。

セリフの半分くらいがラップで、これが最後まで続く。ブクロWU-RONZの中心にあるのがブッパタウンで、ブッパ(竹内力)が妻のエレンディア(叶美香)や息子(窪塚洋介)、娘(中川翔子)と子分のメラ(鈴木亮平)を従える。彼らが東京全体の制覇をめざすこところから、戦いが始まる。

それに対して、ムサシノを中心にシンヂュクや練馬の連中が集まって、対抗する。そこに謎の美女スンミ(清野菜名)や大司祭(でんでん)と彼が送り込む黒人の殺し屋などが加わって、一夜の大バトルが繰り広げられる。

『ブレードランナー』を思わせるような(それよりチープだが)中国がかったスラム街のなかで、ラップと共に遊びのような殺し合いがえんえんと続く。物語にドラマがないので退屈と言えば言えるが、後半になるとラップのリズムが見ている側にも移ってきて、気持ち良くなってくる。

ただ全体にあまりにもマッチョが強すぎはしないか。男は威張り散らし、女は水着のような格好で男を誘惑し、時に胸をはだける。最後のオチが男性器の大小だし。海外で大丈夫かな。窪塚洋介だけが三つ編みで中性的かつクールな存在感を示していた。

個人的には園子温の映画は、『冷たい熱帯魚』や『地獄でなぜ悪い』が好きで、『恋の罪』や『ヒミズ』は苦手だが、今回のワルノリのすべり具合は『恋の罪』に近いかもしれない。

ところで今回の舞台には中央区も港区のようなオフィス街も江東区や墨田区のような下町もない。池袋や新宿や練馬といえば、私の現在の生活圏や仕事圏に近いのだが、こちらに東京の未来があるのか。

別件だが、上野の東京国立博物館で始まった台北・故宮博物院のトラブルについて昨日WEBRONZAに書いたら、さっそく朝日新聞社文化事業部から抗議が来た。いやはや。

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