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2014年6月 4日 (水)

最近の「フランス映画のある種の傾向」

かつて映画批評家時代のフランソワ・トリュフォーが書いた文章ではないが、最近「フランス映画のある種の傾向」が広がっているような気がする。一言で言うと、ヌーヴェル・ヴァーグなんてまるでなかったかのような、ヒットすることを目的に作られたわかりやすい映画だ。

それも国内だけでなく、アメリカでも日本でもヒットするように計算され尽くされている。最近で言うと、『最強のふたり』がそうだった。6月27日からのフランス映画祭で上映されて、8月29日に公開される『グレイト・デイズ!』もそうした1本。

最初にレースに出ようとしている男と車椅子の少年が写る。それから1年前というクレジットが出る。父は失業して殻に閉じこもり、息子はトライアスロンの大会に出ようとするが、両親は耳を貸さない。

少年はあらゆる手段を使って、両親を説き伏せる。そこまで30分余り。それから親子の訓練が始まって1時間余り。最後の20分は本番のレース。

ちょうど90分で、ありえない物語が次々に展開し、ハッピーエンドを迎える。最初にレースに出るシーンを見せるから、安心して見ていられる。そのうえ、ところどころに泣かせるポイントをきちんと作ってある。

監督はニルス・タヴェルニエで、あのベルトラン・タヴェルニエ監督の息子だが、彼の『エトワール』というドキュメンタリーは評判が良くなかったので見ていない。かなり当たったらしいが。その時来日した監督を囲む夕食会に参加したことを思い出した。父親の話をして嫌がられた記憶がある。

さて、この映画がフランス映画祭のオープニング作品という。日本人が作品を選ぶイタリア映画祭と違って、フランス映画祭はフランス側が選定する。その選択には、カンヌのようなアート映画を守ろうという姿勢は感じられない。

かつてはフランス映画祭は未公開作品を中心に20本くらいやっていたが、今回はわずかに12本。うち公開が決まっていないのは6本のみ。パンフを見たところ、気になるのは、ソルヴェイグ・アンスパック監督の『素顔のルル』、ヴァンサン・マケーニュ主演の『2つの秋、3つの冬』、カテル・キレヴェレ監督の『スザンヌ』あたりか。

フランス映画祭を仕切るのはユニフランスという政府系機関だが、この10年で中国、ロシア、ブラジル、インドなどでフランス映画祭を始めたので、日本のように先細りの国にはあまりお金をかけないらしい。

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