フランスの不安
最近のフランス人からのフェイスブックやメールで多いのは、「フランスはこのまま行くとどうなるのか」という不安の表明だ。5月25日の欧州議会選挙の結果、フランスでは何と国民戦線という極右政党が一番の票を集めた。
国民戦線は前回の6.3%から25%へと大躍進。その分、右派中道の国民運動連合(シラクやサルコジの支持母体)は27.8%から21%へと大幅に減らし、オランド大統領の社会党は16.5%から14%へと後退した。
国民戦線というのは、かつてはジャン=マリー・ルペンという狂信的な右翼爺さんが党首だったが、娘のマリーヌになってからソフト路線が定着した。ブロンドの美人で、頼りになるお母さんという感じ。それでもイスラム反対、移民は出て行け、欧州離脱、フランス人のためのフランスを、という主張は変わらない。
彼女は自らをフランスを救うジャンヌ・ダルクに見立て、大真面目に大統領になろうとしている。2012年の大統領選でオランド、サルコジに次ぐ3位で18%だったから、2017年の大統領選では1位にならないとも限らない。とにかく、今度の欧州議会選挙ではまぎれもなく1位だったのだから。
そうしたらフランスは欧州を脱退し、反移民政策に転じるだろう。これは間違いなく世界を悪い方向に導く。共存よりも憎悪の応酬が広がってしまう。
国民戦線を支持するのはパリよりも地方。インテリより労働者で、中年、老年より若者。20代の支持は今回の選挙で30%を越しているという。
日本で安倍政権が支持されているのと同じように、格差社会、ネット社会が、「外人出て行け」というような短絡的な怒りの連鎖を生んでいる。まだ安部首相ならいいが、ルペンの思想は田母神俊雄に近い。
今回の欧州議会選は、ほかの国でも反欧州派が票を伸ばしたようだ。この動きは止められないのだろうが、もしルペンがフランスの大統領になったら、究極的には世界は戦争への道を歩むだろう。これを防ぐために、フランス人はこれから2017年までにどんな手を打つのだろうか。フランスの心配をしている場合ではないのかもしれないが。
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- 「映画は社会問題問う道具」か(2018.02.24)
- 「奨学金破産」に驚く(2018.02.22)
- 『きょうも傍聴席にいます』に涙する(2018.02.20)
- 「ルモンド」紙に出たアルマーニの制服問題(2018.02.18)
- 気になる3人の訃報(2018.02.03)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ツイッターを乗っ取られる(2018.04.23)
- ナナコを作ったが(2018.04.19)
- 春は人事の話ばかり(2018.04.12)
- 「コンビニ人間」か(2018.03.29)
- 今も日本は「普請中」か(2018.03.23)
コメント