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2014年6月 8日 (日)

感動した映画について

フランスの『カイエ・デュ・シネマ』という雑誌は1951年にできたものだが、この5月号で700号を迎えた。100号ごとに特別なことをやるので有名で、2005年の600号は北野武のデッサンをもとに何人かの監督が物語を語っていた。

ちなみに300号(1979)はゴダール、400号(87)はヴェンダース、500号(96)はスコセッシが編集長だった。その時代の話題の監督かもしれない。

今回は1人の監督を取り上げるのをやめて、「あなたにとって重要で記憶に残っている映画の感動(emotion)について語って欲しい」という手紙を監督や俳優や作家に送り、帰ってきた140通を載せている。

ぱっとリストを見て、知らない名前が半分くらいあるのに驚く。日本では北野武、是枝裕和、黒沢清、麿赤児、富田克也、吉田喜重か。

彼らの答えよりも、日本映画を選んだ人が多いことが興味深かった。例えば女優のレア・セドゥーは、『黄金狂時代』『天井桟敷の人々』に加えて『風立ちぬ』を挙げて、「私は物事が表に見えないのが好きだ。うまく表せない感動が心を打つ」と書く。

監督のクレール・ドニは、『晩春』のラストで父親が1人でリンゴをむくシーンを挙げる。

ポーランド出身でフランスで活躍する監督のアンジェイ・ズラウスキー(懐かしい!)は、『戦場のメリークリスマス』でデヴィッド・ボウイが砂に埋められて首だけを出し、その額に白い蝶が止まるシーンに泣いたと書く。

クリス・ウェアというアメリカのイラストレーターは『東京物語』を挙げて、「人生そのものが過ぎてゆく、素朴で苦しい感覚」と言う。アンドレイ・ウジカというハンガリーの監督は『ゴジラ』について語る。4歳の時に祖母が連れて行ってくれたらしい。

日本の監督は映画よりも個人的な体験ばかり語っている。おかしかったのは北野武で、わずかに「自分の仕事にインスピレーションを与えるのは自分の映画だ。とりわけ失敗作がそう」。

さて、もし自分にそんな質問をされたら何と答えるだろうか。今ふっと浮かんだのはドライヤーの『裁かるるジャンヌ』だが、これは最近DVDを見直したからだろう。

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