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2014年6月 3日 (火)

またサンローランの映画が

9月6日公開の『イヴ・サンローラン』を見た。6月末のフランス映画祭で上映されるので、その試写があった。サンローランのセリフを聞きながらどこかで聞いたことがあると思ったら、3年ほど前に彼のドキュメンタリーを見たことがあった。

なぜわかったかというと、自分でブログ検索をしたら、その感想が出てきたから。3年前に見たことも書いたことも既に記憶の果てに沈んでいたとは。

今回はフィクションだが、その分若い頃の彼の姿が見られるし、ファッションショーもたっぷり見せてくれる。サンローランを演じているのはピエール・ニネというコメディー・フランセーズの役者だが、痩せて神経質で、服のデザイン以外には広報にも経営にも一切興味を持たない芸術家の姿を見事に演じている。

話し方や歩き方にもサンローランらしい繊細さや上品さが溢れている。一方彼の公私にわたるパートナーのピエール・ベルジェ役のギョーム・ガリエンヌもコメディー・フランセーズ出身らしいが、何があってもサンローランをそばで見守る落ち着いた演技がいい。

作品としては前半のおもしろさに比べて、後半はつらいエピソードがつぎはぎになっている感じか。もっとファッションそのものがどう変わっていったかを見たかった。全体としては抑制の効いた演出に好感が持てた。1950年代から70年代までの時代の雰囲気を、抑えた色調の画面でうまく表現していた。クリスチャン・ディオール、ジャン・コクトーやカール・ラガフェルドといった人物が出てくるのも楽しかった。

3年前のブログに書いたように、私は2005年頃日本で「サンローラン展」をやるためにパリのモンテーニュ通りのサンローラン財団に通っていたことがある。その時にも完璧に保存されているたくさんの衣装を見せてもらったが、今回、それらをモデルが着こなしたショーを見るのは楽しかった。

とりわけそのショーの時に流れるヴェルディの『ラ・トラヴィアータ』や『トスカ』などのイタリア・オペラがぴったりだった。実際にそうだったのかは知らないが。それからショーの最後には必ず花嫁姿の衣装があって、みんなが総立ちになってデザイナーを迎えるものだと、この映画を見て初めて知った。

こんなにファッションに無知でサンローランの展覧会をしようとしていたのだから、我ながら驚く。「サンローラン展」の企画は東急文化村のザ・ミュージアムに持って行って、「人が来ない」と断られた。もう今なら、書いてもいいだろう。

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