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2014年7月24日 (木)

シュレンドルフ健在!

今、渋谷でセルゲイ・パラジャーノフ(@ユーロスペース)とダニエル・シュミット(@オーディトリウム渋谷)とマルコ・ベロッキオ(@イメージフォーラム)の回顧上映が開催されている。私の20代の時、まさに「異端の神様」だった監督たちだが、まだ一度も足を運んでいない。

フィルムセンターの増村保造から足が抜けられなくなったのが原因だが、新作の試写も見たくなる。10月に公開されるドイツのフォルカー・シュレンドルフ監督の新作『シャトーブリアンからの手紙』を見に行った。

シュレンドルフもまた「神様」であった。79年にカンヌでパルムドールを取った『ブリキの太鼓』が日本で公開されたのが81年だったから、私の学生時代はいつも彼の新作を待っていた気がする。しかし待ち望んだプルースト原作の『スワンの恋』(84)を始めとして、その後の『ボイジャー』(91)などの大作は、いつも期待を裏切られた。

それが2005年に「ドイツ映画祭」を始めることになり、『9日目』(04)をビデオで見て驚いた。低予算だがナチスの収容所における牧師をきっちりと描いていて、好感が持てた。ナチスものは勘弁してくれという東京ドイツ文化センターの反対を押し切ってドイツ映画祭で上映することになり、05年のベルリン映画祭では彼にインタビューした。

今回の『シャトーブリアンからの手紙』も、再びナチス時代の話だ。『9日目』と同じく、低予算だが事実を淡々と描いていて迫力がある。舞台はナチス占領下のフランスの地方都市。フランス人にドイツの将校1人が暗殺されたことの報復として、政治犯を集めた収容所で27名の処刑が決まってからの数日を描く。

フランスに住むドイツの将校や作家もその処刑に反対だし、ドイツ人の下で働くフランス人も何とか処刑を止めさせようとする。しかしベルリンのヒットラーからの命令に誰も反対できない。そして処刑が実行される。

『9日目』のユダヤ人収容所と違って囚人たちの服装は自由だし、平気でドイツ人を馬鹿にする。まさかこのまま死ぬとはとても思えないが、リストができて処刑が決まると誰も抵抗できない。処刑直前に囚人たちに遺書を書かせる神父を演じるジャン=ピエール・ダルッサンがいい。ドイツ人に言うべきことを言う唯一の存在だ。

処刑のシーンもあえて遠景で淡々と見せる。ドイツ側にもフランス側にも立たず、事実を見せるだけなのである意味で物足りないが、それが今の時代に求められているのだろう。戦争への道を歩みつつある今の日本で必見の映画だと思う。シュレンドルフ、健在である。

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