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2014年7月22日 (火)

美術とファッションを考える展覧会2つ

期せずして美術とファッションや衣装の関係を考える展覧会を2つ見た。1つは、渋谷の東急文化村で今月27日まで開かれている「デュフィ展」。ラウル・デュフィは、20世紀前半に活躍したフランスの画家だが、その軽やかなタッチや色調が好きだった。

パリ市立近代美術館にデュフィの《電気の精》という巨大な壁画がある。縦10メートル、横60メートルで丸い壁1面に広がっているが、1937年のパリ万博のために作られたものだという。私はパリに行って暇ができると、よくこの前で時間を過ごす。

それは絵画と言うよりは、見て心地よい装飾の世界。マティスのようだが、それほど過激ではなく、青を基調にした原色と、イラストのような黒の線の組み合わせが軽快だ。だから見ていて何ともファッショナブル。

そう思いながらこの展覧会を見ていたら、ファッション・デザイナーのポール・ポワレに頼まれて作ったテキスタイルのデザイン画が出てきて驚いた。布地にプリントされた花や動物のデザインが多数あった。ファッショナブルではなくてファッションそのものに参加していたとは。

デュフィを見る時の快楽は、画家が計算して作っていたものに違いない。だからマティスのように絵画とは何かを追求するのではなく、誰が見ても気持ちの良い図柄を描き続けたのだろう。だから私は見ながらある種の後ろめたさというか退廃も感じる。

もう1つの展覧会は、国立新美術館で9月1日まで開催の「魅惑のコスチューム バレエ・リュス展」。これは文字通り20世紀前半にパリを席巻したロシアバレエ団の衣装を並べたものだが、驚くべきはその多くに著名画家が参加していることだ。

ピカソくらいは知っていたけれど、マティス、ブラック、ドローネー、キリコ、ローランサンなど数限りない。作曲家もストラヴィンスキーのようなロシア人のものから、ドビュッシーやサティなどフランス人の参加が増えてくる。ロシアという辺境から来たバレエがその野生でフランスを魅了し、フランス文化そのものと化してゆくさまが見て取れる。

会場は展示壁を取っ払って、マネキンに着せられた百体以上の衣装が薄暗い会場に照明で浮かび上がって圧巻だ。何と展示品のほとんどがオーストラリア国立美術館の所蔵になるものという。やはりオーストラリアは馬鹿にできない。

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