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2014年7月10日 (木)

『マレフィセント』の「真実の愛」

前に書いたように、大ヒット中の『アナと雪の女王』も来週公開の『思い出のマーニー』も、中心テーマは女性同士の愛だった。先週始まった『マレフィセント』もそうだと聞いて、どうしても見たくなった。

映画としての見ごたえは、前に挙げた2本のアニメに比べて明らかに落ちる。アンジェリーナ・ジョリーが悪魔(マレフィセント)だが、実はいい奴でという設定で、ヒーローと悪者の両方のいいとこ取りという感じ。

マレフィセントが若い頃に出会って「真実の愛のキス」をした少年ステファンは、自らの出世のために彼女を裏切る。ステファンが王妃と結婚して子供が生まれるお祝いに突然現れたマレフィセントは、その娘オーロラ(エル・ファニング)に呪いをかける。その娘は成長するとなぜかマレフィセントに親しみを覚えてゆく。

オーロラは王子様と出会うが彼の「真実の愛のキス」で呪いは解けず、それを解決するのはマレフィセント自身の「真実の愛」。何だかアンジーの自作自演だが、オーロラがマレフィセントを「ゴッドマザー」と呼んで慕ってゆく様子がおかしい。

『アナ雪』は、万能の力を持って自由奔放に生きる姉に対する妹の愛がテーマだったが、この映画も悪魔の力を持ってやりたい放題のおばさん(父の元恋人)への娘の憧れが中心となる。『マーニー』もまた、ブロンドの外国人のような女性マーニーに不思議な親しみを感じる娘の物語。

西洋では近代以降「真実の愛」true loveが決定的な意味を持つということは、文学史ではよく言われることだ。その過程で「愛」が神格化され、万能となった。いつかは白馬の王子様が現れるという発想は現在もある。もちろんその奥には、男性の存在がすべてを解決するという、実は男性中心の考えがある。

日本ではそれほど「愛」を表面には出さない。「愛している」と言う男よりも、「優しい」とか「気が合う」「気がつく」ような男の方が人気だ。いずれにしても、ハリウッドの大作でこれほど「真実の愛」や「白馬の王子様」が否定されたのは大きい。

この3本はいずれも子供も楽しめる内容のうえ、今年のヒット作だ。これを見て育った女の子たちは、将来、どのような男性観を持つようになるのだろうか。いずれにしても今後、何歳の時に「アナ雪」を見た、というのがキーワードになりそうだ。

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