そして、せっかちは続く
駅で、とにかく少しでも早く目的地に着こうとジグザグに歩く。スマホを見ながらふらふら歩いている若者(とは限らないが)を、張り倒したくなる。何でみんなサッサと歩かないのかと思う。
つまりは、せっかちなのだ。食べるのも早い。友人と食べに行くと、出てきたものを一番先に食べ終わる。それ以前に、注文を早くしないと気がすまない。遅く来る友人のために、勝手に注文するくらい。
最近、学生と食べても自分の方が早く食べることに気がついた。彼らは、私などよりずっと食事を楽しむ術を心得ているように見える。
昔、「狭い日本 そんなに急いでどこへ行く」という交通標語があった。検索してみると、1973年に公募で採用されたスローガンらしい。もちろん、車のスピードを上げ過ぎるなという意味だが、今考えると、なかなか奥が深い。
「狭い日本」というのが、日本人のコンプレックスのようで時代を表わしている。もちろん日本よりも小さい国は世界にいくらでもある。いずれにしても、この標語は私が小学生高学年から大学生くらいまで、長く使われたのではないか。
私は実は車の免許を持っている。大学生の時に親に言われて取ったが、実際に運転してみてとても向かないと思った。友達に「そんなせっかちじゃ、ダメだ」と言われた記憶がある。
本を読むのも早い。新書などは朝持って出かけると、その日のうちに読み終わることも多い。おもしろくないと思ったら飛ばし読みをするから。
美術展のことをよくここで書くが、実は展覧会を見るのも早い。わからないと思ったら、10分くらいで終わる。好きな中身でも40分くらいではないか。むしろ自宅でカタログを見ながら考えている方が好きだ。
そんな私が、よく2時間を越す映画を最後まで見るものだと思う。実験的な、ある意味で退屈な映画でも、途中で出ることは滅多にない。映画はやはり自分に向いているのかもしれない。
昔から「生き急いでいる」とよく言われた。今でもいつも焦っている。大学のポストも(たぶん)安泰だし、何も慌てることはないはずなのに。唯一落ち着くのは、酒を飲む時かもしれない。このまま焦りながら生き急ぎ、酒の飲み過ぎでパッと死ぬならば本望だが。そして、せっかちは続く。
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