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2014年7月21日 (月)

娯楽映画について考える

同じ日に新旧の娯楽映画2本を見た。公開中の『超高速! 参勤交代』と増村保造の『青空娘』(1957)。『超高速! 参勤交代』は、ここで「いったい誰が見るのか」と書いたら、学生に「見たらおもしろかったですよ」と言われたので気になっていた。

興行収入が10億円を越したというのにも驚いていた。いざ映画館に行ってみると、本当に中高年が多く、70代や80代もたくさんいた。かつての「寅さん」や「釣りバカ」シリーズのような、松竹が得意とする「安心して見られる庶民コメディ」の客層が、そのまま年を取った感じか。

映画の内容は題名の通り。5日間で江戸に来いと言われた小藩が、走りながら参勤交代をして、いろいろな困難をくぐり抜けてどうにか間に合うというもの。最後にはどうにかなるという感じが最初から約束されているから、家老が井戸に落ち、殿が別行動を取って恋愛しても、安心して見ていられる。

わずか7人で旅をする日々のおかしさが重要だが、殿を演じる佐々木蔵之介や家老の西村雅彦など演劇出身の個性派たちが盛り上げていた。ユーモアの質は「寅さん」などに近い、いわば庶民の笑いで劇場内は盛り上がっていたが、個人的には少し退屈した。

最後は江戸城に入る直前のアクションもあり、7人の努力が努力が幕府に認められて、2つの恋愛も成就する。見終わると、それなりのカタルシスがあった。監督の本木克英は朝原雄三と共に、今後の松竹の屋台骨になるのではないか。

それに比べると『青空娘』のコメディは圧倒的だ。田舎の高校を出た娘(若尾文子)が、東京の父親の家に住み始めるが、実は彼女は愛人の子で、継母や義兄弟から女中扱いされる。若尾はそれにもめげず明るく振る舞って周囲を巻き込み、金持ちとの恋愛にも成功する。

初期の増村特有の早いセリフの掛け合いが見ていておかしい。若尾の恋人役の川崎敬三も含めて若尾以外の登場人物は戯画化されていて、最初から若尾が勝利するのは目に見えている。これは増村の2作目だが第一作の『くちづけ』のような世の中への批判も、その後に出てくる「女の情念」もない。

増村作品としては予定調和的な凡作だろうが、それでも抜群におもしろかった。何といっても若尾文子の溌剌とした笑顔を見ているだけで嬉しくなった。

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