« 旬の近藤正臣を楽しむ | トップページ | 今また三里塚について考える映画 »

2014年7月19日 (土)

この週末に終わる展覧会2つ

この週末の連休で終わる展覧会を駆け足で2本見た。私の場合、「駆け足」は比喩ではない。終わる間際に見るのはそれほど興味がわかないからだが、それでも少しでも気になると「駆け足で押さえておく」。

1つはサントリー美術館の「徒然草」展で、もう1つはブリジストン美術館の「描かれたチャイナドレス」展。どちらもテーマが明確で、国内各地から作品を集めた小粒だが丁寧な展覧会だった。

「徒然草」展の副題は「美術で楽しむ古典文学」で読んで字の通り、この随筆をテーマにした絵が並んでいる。初めに『徒然草』の最初の文章があって、思わず惹かれてしまう。

つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

これはもう私がこのブログを書く心境そのもので、「心にうつりゆくよしなしごと」を書いていると、本当に「あやしうこそ物狂おしけれ」。

『徒然草』自体は鎌倉時代、14世紀半ばに書かれているが、しばらくあまり話題にならず、江戸時代になって知られるようになったらしい。それからは絵巻などが数多く残されている。展覧会の目玉は、この美術館が近年収蔵した海北友雪の《徒然草絵巻》で、全20巻が1巻づつ文章と解説つきで展示されている。

それを見ても、面白いのは文章であって、絵巻は「ふうん」という程度。何度も読んでいるはずだが、その平静と煩悩を行きつ戻りつする融通無碍の精神に圧倒される。展覧会としては単調だったが、もう1度徒然草を読みたくなった。

「描かれたチャイナドレス」展は、副題が「藤島武二から梅原龍三郎まで」で、1910年代から40年代までの29点からなる小さめの展覧会。印象派やポスト印象派の圧倒的な影響を受けた戦前の洋画家達が、チャイナドレスに憧れたさまが伝わってくる。

当時は日清戦争にも勝って、次第に中国を侵略しつつあったが、心の奥では中国への長年の憧れがあったのだろう。それを西洋から学んだ油絵で描くところに、戦前日本のインテリの複雑な心性が見えてくる。

やはり圧巻は、安井曾太郎の《金蓉》(1934)だろう。解説パネルに、モデルの女性は完成前に満洲へ行ってしまい、画家は残されたドレスを見ながら描いたと書かれていた。そう言われるとそういう気がする、リアルでありながらどこか抽象的な絵だ。東京国立近代美術館でいつも見ていたが、ほかのチャイナドレスの絵と比べると、断然引き立つ。

今もチャイナドレスはあるし、世界中で着られている。世界レベルの永遠のエキゾチズムの1つであるがゆえに、その戦前日本バージョンはいじましく、興味深い。

|

« 旬の近藤正臣を楽しむ | トップページ | 今また三里塚について考える映画 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/60007191

この記事へのトラックバック一覧です: この週末に終わる展覧会2つ:

« 旬の近藤正臣を楽しむ | トップページ | 今また三里塚について考える映画 »