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2014年8月 4日 (月)

『GOZDILLA ゴジラ』は不愉快

別にゴジラファンではないが、今回のハリウッド版ゴジラには期待していた。予告編で写るゴジラの「雄叫び」がいい感じだったからだ。それに世界各地でヒットしているというし。

ところが私には、ずいぶん不愉快な映画に見えた。その一番は、3.11や9.11を思わせる場面をしっかり見せながら、その背景にある民族対立や原発といったものへの思考が全く見えなかったからだ。

高層ビルに飛行機が突っ込んだり、ビルが崩壊して人々が落ちて行ったり、あるいは廃墟の中で家族を探したりと9.11の風景を思わせるシーンが満載だ。あるいは迫りくる津波から逃げ惑う人々、逃げ切れずに海に飲まれる車や人間、さらには放射能で立ち入り禁止地区になった廃墟を15年後に訪れて遺品を探す男など、東北大地震や福島原発の被害者が見たらどう思うだろうかと、見ていて心配になった。

映画はそれらを見せながら、何の解釈も与えない。フィリピンで生まれたムートーという怪物が日本の原発に潜んでおり、15年後に姿を現して、サンフランシスコを舞台になぜかゴジラが撃退するのだけれど。

アメリカ海軍の司令官の出す指示はことごとく失敗する。渡辺謙演じる芹沢猪四郎(!)博士の意見は全く受け入れられず、立ちすくむ姿だけが印象に残る。何度も出てくるのに存在理由が感じられない。その一方で、ハリウッドらしい家族の物語だけが目立つ。

ブライアン・クランストン演じる原発技術者は、事故で妻(ジュリエット・ビノッシュの出番が短すぎ!)を亡くし、その息子役のアーロン・テイラー=ジョンソンは海軍将校だが、妻や子供の心配ばかりして、最後に再会を果たすことが最大のクライマックスとなる。いやはや。

もともと冒頭に出てくる富士山麓のJANJIRAという原発が不思議だ。なぜ日本でJANJIRAジャンジラなのか、そのうえその組織は大半はアメリカ人が支配しているし、そこで話される日本語は明らかにおかしい。原発はアメリカが支配していることを無自覚に見せているようで、極めて不愉快な出だしだった。

それでも、ゴジラの雄叫びはよかった。そしてその背びれは惚れ惚れするほど美しかった。サンフランシスコの街がムートーによって破壊されるシーンもムートーとゴジラの対決もよくできていたと思う。東宝シネマズ日本橋のTCX+DOLBYATMOSで見たので、そのような視覚的快感は最大限に味わったが。

パンフレットにアーロン・ジェローさんが「ゴジラはいかにアメリカ人のアイコンになったか」という小文を寄せていて、これが抜群におもしろい。イェール大学教授の知人だが、東宝のパンフに彼の名前が出ることもあるのだと思った。

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