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2014年8月31日 (日)

映画以外のベネチアの話:その(1)

たまには映画以外の話をしたい。ベネチアといえば、現代美術のオリンピックとも言える「ビエンナーレ」が有名だ。1895年にできたもので、映画祭もこの組織が1932年に始めている。映画祭は始まって2回目の1933年から毎年になったが、美術展は2年に1度。

ところが1990年頃だったと思うが、美術展のない年に建築展をやるようになった。というわけで、今年は建築展の年。会場は例年通り、国別のパビリオンが中心のジャルディーニと、テーマ展が中心のアルセナーレの2か所。

ジャルディーニに来るといつも思うのが、19世紀末の帝国主義の世界。入り口から正面にイタリア館があり、右側には正面にイギリス館。イギリス館は左右にフランス館とドイツ館を従える感じ。ちょっとわかりにくいが規模が大きいのがアメリカ館。

日本館は1950年代にできたはずだが、ドイツ館とロシア館に挟まれた感じの場所の小ぶりな建物。欧米や中南米しかないなかで長年唯一のアジアの館だったが、90年代に韓国館ができた。日本館の裏側の斜面を遮二無二切り開いた感じの場所だ。

今年は国別で韓国が金獅子賞を取ったというので見たいと思った。南北に分断された歴史とそれぞれの建物を、模型や写真、映像などでスマートに展示しており、メッセージ性の強さも含めて興味深かった。

私がおもしろいと思ったのはフランス館で、戦後のモダンな住宅を疑問に付すような内容で、使われている映像もよかった。ジャック・タチの映画に出てくる住宅の模型があったり、戦時中にフランスのユダヤ人が入れられたパリ郊外のドランシーの収容所関連の展示もあった。

日本館は、戦後建築の歴史を総括するような感じの展示だった。輸送用の木箱や書籍、写真などが所せましと並んでいて、その混乱と雑多さがまさに日本の戦後を表しているようにも思えた。

そのほか巨大な造船所跡を使ったアルセナーレの前半のmonditaliaというテーマ展示では、多くの古い映画がスクリーンに投影されていたのが印象に残った。確かにロッセリーニやアントニオーニなどの映画では、建物が大きな意味を持つ。ほかにもゴダールやストローブ=ユイレなどがイタリアで撮った映画もあった。

2つの会場を4時間近くかけて文字通り駆け足で見たが、映画の見過ぎで物語に飽きている頭にはいい刺激になった。考えてみたら、2008年秋には記者としてこの建築ビエンナーレを取材して記事を書いたことを思い出した。今考えてもちょっと恥ずかしい。

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