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2014年9月 3日 (水)

またベネチアに来てしまった:その(6)

当然ながら、イタリア映画はコンペに毎年3、4本は入る。サヴェリオ・コスタンツォの「ハングリー・ハート」は、ニューヨークに住むイタリア人女性ミナ(アルバ・ロルヴァケル)とアメリカ人男性の恋愛を描いたもので、全編英語の作品だった。

ミナはジュードと中華料理店のトイレのトラブルで知り合って結婚するが、子供ができてからミナの自然食志向は極端になる。心配した夫が医者に連れてゆくと、タンパク質不足で危ないという。それから夫婦の絆は揺らぎ、夫は子供を自分の母の家に連れ去る。

どこにでもあるような話で、家の中で過度に神経質になってゆく妻役のロルバケルがぴったり。カメラも彼女の心象風景のように揺れ動く。ただニューヨークである必然性もないし、街も風景としてしか描かれていない。それ以上にテーマがありふれている。

同じくコンペのマリオ・マルトーネ監督の「素晴らしき若者」Il giovane fabolosoは、詩人、哲学者のジャコモ・レオパルディの生涯を追った歴史もの。イタリア映画祭で上映された前作の『われわれは信じていた』にも似て、歴史の事実を端正な映像で淡々と追う。

少年の頃から不器用だったジャコモが文学に目覚め、世の中に背を向けて文学にのみ生きてゆく姿を、エリオ・ジェルマーノが見事に演じている。とりわけ後半のせむし男のようになった姿は胸を打つ。

撮影はレナート・ベルタで、時おりはっとするほど鮮烈な映像を見せる。ジャコモが湖のそばで横たわるシーンや、ベランダをカメラが進んでゆくと海が見え、その横にジャコモが1人で座っているシーンなど忘れがたい。ジャコモはレカナーティという田舎で生まれ育ち、フィレンツェに移り、最後はナポリで過ごす。セットも衣装も惚れ惚れするほど。

オリゾンティ部門の「ベルルスコーニ シチリアの物語」Berlusconi una storia sichirianaはフランコ・マレスコ監督のドキュメンタリーで、ベルルスコーニがいかにシチリアのマフィアと関係が深かったかを、かつての映像やベルルスコーニに近い興行師ミラ・チッチョとその歌手たちへのインタビューを中心に描く。

これまたイタリアの闇の歴史にメスを入れたもので、マレスコ監督の皮肉たっぷりの構成に、会場は沸きに沸いた。外国人の私にはおもしろさが半分しかわからなかったが、ぜひ日本語字幕付きでイタリア映画祭で上映して欲しい。でも、大使館とかは大丈夫かな。

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