« 『柘榴坂の仇討』の古くささに? | トップページ | フィリピン映画はおもしろい »

2014年9月26日 (金)

鈴木敏夫さんの講義:その(1)

先日、スタジオジブリの鈴木敏夫さんに大学で講義をしてもらった。鈴木さんはテレビやラジオに出演されていることもあり、あの白髪の笑顔と甚兵衛の姿は誰でも知っている。それ以上に、今の大学生は小さい頃からジブリのアニメに大きな影響を受けていて、鈴木さんはいわば神さまのような存在だ。

この授業は毎回映画界のいろいろな分野の方に話を聞く形式で、通常は70名ほどが出席するが、今回は貴重な機会なので登録学生以外にも開放することにした。すると160席ほどの座席はすべて埋まり、通路や壁際に40名ほど立ち見が出た。

鈴木さんは本当に話のうまい方なので90分はあっという間に過ぎたが、特に記憶に残った話をメモしておきたい。一番おもしろかったのは、映画をヒットさせるコツの話で、一番は「映画に係わる人を増やし、まずその人たちに見てもらう」。

例えばローソンと組むと、1万2千店が全国にある。そのすべてにポスターを張ってもらうと1万2千人がポスターを張ることになる。その人たちは映画を見たくなるだろう。それぞれのローソンに3人働いていると、3万6千人が仲間だ。読売新聞と組めば、販売店は6千ある。そこに3人が働いていれば……と続く。

そうやって関係者を足してゆくと、数十万の仲間ができる。本当なら、その人たちの名前を全員映画のクレジットに入れたいくらいだとも。

この話をするのは鈴木さんも初めてと言っていた。普通は宣伝は一般の人を対象にするが、鈴木さんの手法はあくまで身近な人から。鈴木さんは、アメリカのフォードが車を作り始めた時「誰に売るのだ」と聞かれて、「まずは社員に売る」と答えたという話を知って、「我が意を得たり」と思ったという。

邦画の製作委員会制度は鈴木さんが始めたと言われるが、これは考えてみたら「仲間を増やす」発想だ。徳間書店のアニメ雑誌の編集長時代に『風の谷のナウシカ』の企画に係わった時、何とか社内を説得した後、博報堂に宮崎駿の弟がいると聞いて会いに行き、製作への参加を取り付ける。

博報堂が参加すると聞いて、徳間康快社長はそれはすばらしいとゴーサインを出したという。徳間さん自身に製作委員会的なものを目指す発想があったのではないかとも。

鈴木さんの話を簡単にまとめるつもりだったが、あと3つくらい書きたいネタがあるので、後日また書く(たぶん)。

|

« 『柘榴坂の仇討』の古くささに? | トップページ | フィリピン映画はおもしろい »

大学」カテゴリの記事

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 鈴木敏夫さんの講義:その(1):

« 『柘榴坂の仇討』の古くささに? | トップページ | フィリピン映画はおもしろい »