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2014年9月 1日 (月)

またベネチアに来てしまった:その(4)

これまでのベネチアは、イタリア映画祭をやっていた頃はイタリア映画を中心に、それ以降は好きな監督の作品をセクションを問わず気ままに見ていた。ところが今回は報告記事を書くので、コンペをすべて見ることにした。それに日本関係の作品と、どうしても見ておきたい監督の映画を足すと、だいたい1日に3、4本になってしまう。

昨日見たコンペは1本で、イタリアのフランチェスコ・ムンツィ監督の「黒い魂」Anime Nere。カラブリアの山奥で育った3人の兄弟が地元に集まり、対立するグループとの抗争が始まる。

『ゴモラ』などで見たイタリアの闇の世界に迫ったもので、その意味では既視感もあるが、抑制された表現の光る力作だ。一族にまつわる暗い過去が蘇り、長男はそれを断ち切ろうとするが、その息子が暴走してしまう。残酷なシーンはあえて見せないが、画面一杯に深い悲しみが漂い、この山の中の土地の血と因縁の歴史が浮かび上がる。

その後に、コンペ外の招待作品を3本見た。ピーター・ボグダノヴィッチの「彼女はだからおかしい」She's Funny that wayは、コールガールをしながら女優を目指す女性を中心に、彼女の客となった男たちやその妻たちの入り乱れた関係を描くコメディ。

ニューヨークのブロードウェイが舞台で、ウディ・アレンのようなちょっと芝居がかったジョークが無限に続く。ボグダノヴィッチの映画は最近見ていないが、これはかなり痛快な喜劇なので日本で公開されるだろう。

オーストリアのウルリヒ・ザイドル監督は、最近日本でも「パラダイス」3部作が公開された鬼才だが、新作は「地下室で」Im Kellerというドキュメンタリー。文字通り自宅に地下室を持つ人々の奇妙な生活を追う作品で、かなりびっくりする。

ヒトラー好きで、友人と集まってナチスグッズに囲まれて吹奏楽を演奏する男、地下でひたすら洗濯をする女たち、銃マニアの男、夫を完全に奴隷にしている女、夫から鞭で打たれることが大好きな女などなど、変人がどんどん出てくる。とりわけ夫にあらゆる命令をする女はすさまじい。詳細はここには書くのもためらわれるが、男性器の露出が多い映画なので日本公開は無理かもしれない。

「神々の言葉」Words with Godsは、E・クストリッツァやA・ギタイなど世界の9人の監督によるオムニバス。宗教を軸に、さまざまな国の現代の問題を描く。日本からは中田秀夫が参加し、「四苦八苦」というタイトルで東北大地震で両親と妻子を亡くした男(永瀬正敏)のその後を描く。どの短編も問題が大きすぎで消化不良な感じがしたが、個人的にはアレックス・デ・イグレシア監督のスペインが舞台の作品がユーモアたっぷりで良かった。

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