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2014年9月12日 (金)

普通におもしろいアトム・エゴヤン

アトム・エゴヤンの映画を全部見たわけではないが、カナダ出身の相当に変わった監督という印象があった。『スウィートヒアアフター』(97)とか『フェリシアの旅』(99)とか、エグイ部分があった。ところが11月公開の最新作の『デビルズ・ノット』を見たら、案外普通におもしろかった。

映画は実際にあった話として、1993年夏の米国、ウエスト・メンフィスが舞台。3人の少年が森の中で失踪し、しばらくして川の中で暴行された死体が発見される。しばらくして16歳から18歳の若者3人が逮捕される。映画はこの3人の逮捕に疑問を持つ私立探偵ロン・ラックス(コリン・ファース)を中心に進む。

警察の捜査はどうみても杜撰だし、ヘビーメタルが好きな若者たちを悪魔崇拝者にしたがる住民たちはヒステリックだし、最初はまじめに見えた弁護士も途中からいい加減だし、見ていてイライラする。

そこで私立探偵役のコリン・ファースが快刀乱麻のごとく事件を解決するかと思ったら、そうでもない。3人の若者を犯人にする根拠が少しずつ壊れてゆくが、それでも事態は解決しない。警察や裁判所の論理におかしな点がいくつも見つかっても、若者たちは有罪のまま。

殺された少年たちが迷い込む森の中のように、事件は迷宮入りしたままで映画は終わる。その後の事実は字幕で説明されるけれども、現在に至るまで事件はまだまだ解決していない。

見終わった後に、いやーな感じが残る。それはアメリカの地方の魔女狩りのような雰囲気がそうだし、警察や司法関係者の事なかれ主義がそうだし、コリン・ファースが半分負けた感じで終わることもそうだろう。それゆえに見ごたえがあったのも事実で、やはりアトム・エゴヤン監督は普通に見えても一筋縄ではいかない映画作りをすると改めて思った。

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