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2014年9月21日 (日)

パネル中心のジャック・ドゥミ展

京橋のフィルムセンターの展示室で、12月14日まで開催の「ジャック・ドゥミ 映画/音楽の魅惑」展を見た。正確に言うと、この展覧会を企画したパリのシネマテーク・フランセーズのマチュー・オルレアン氏の解説付きで見た。事前にメールが来て、ぜひ来てくれとのことだった。

面識はないが、シネマテークのトゥビアナ館長からの紹介というのでむげにも断れず、行くことに。講演自体は知らないことが多かったので、ためになった。

まず彼の話で驚いたのは、ドゥミがトリュフォーやゴダールらのほかのヌーヴェル・ヴァーグの監督たちと違って、自らの製作会社を持たなかったことだ。奥さんだったアニエス・ヴァルダさえも持っていたのに。だから彼は毎回プロデューサーを探さねばならなかった。

次に驚いたのは、彼が最初はアニメのポール・グリモーやドキュメンタリーのジョルジュ・ルキエに弟子入りしていたことだ。『シェルブールの雨傘』を始めとする彼の作品が独自なのは、そのルーツにあるかもしれない。

彼は1969年に米コロンビア資本で『モデル・ショップ』をロスで撮るが、その時にカリフォルニアが大好きになったということもびっくり。その後、1年に1度か2年に1度は行ったらしい。この作品以降、彼の映画は暗くなり、非現実的だったり、サイケデリックだったり、死が出てきたり、裸が出てきたりする。

今回の講演は、私の見ていない『モデル・ショップ』以降の70年代の『モン・パリ』、『ハメルンの笛吹き』『ベルサイユのバラ』などが中心だったので、私にはわかりにくかったが、そうなのかと思った。

残念だったのは、展示品のかなりがオリジナルではなく、その写真を取り込んだパネルにされた状態だったことだ。写真やデザイン画や手紙などが画像としてパネルに入っている。とりわけ見たかったのは、自画像や彼が晩年に書いた絵画数点で、これはパネルでは全く良さが味わえない。本物はドゥミの学生証とか日本語の名刺とか一部だった。

彼自身が撮った写真も2点を除くとパネルで、「本物を見る」という展覧会の本質がかなり失われている気がした。もちろん、そうしたらお金がかかるのはわかるけれど、国立の美術館なのだから。

後でマチューさんにドゥミと奥さんのアニエス・ヴァルダとの関係について聞くと、そう簡単ではないとの返事。長年別居していたが、ドゥミが病床についてから世話をしたという。ヴァルダの映画会社シネタマリスはドゥミの映画を1本も製作していないが、今やドゥミの映画の権利のほとんどを所有する。今回の展示品(大半はパネル化されていた)はシネタマリス所蔵が多いが、ドゥミ家所蔵もある。夫婦は謎である。

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