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2014年10月 1日 (水)

ジュリエット・ビノッシュの存在感

フランスのジュリエット・ビノシュには独特の存在感がある。ゴダールやカラックスやキエシロフスキ、キアロスタミといった「巨匠」の映画で主演をしているだけでなく、舞台でも活躍しているし、政治的な発言も多い。ちょっと、かなわない感じ。

12月13日公開の『おやすみなさいを言いたくて』で、彼女が戦場を駆けめぐる報道カメラマンを演じると聞いて、ハマり過ぎではないかと思った。ちょっと恐いもの見たさのような気分もあって、試写を見た。

映画はカブールの自爆テロの取材現場に始まり、その爆発でビノシュ演じるレベッカは吹き飛ばされて重傷を負う。迎えに来た夫とアイルランドに帰り、娘たちとの平和な日々が始まる。レベッカは家族のために戦地に行くのを止めようと決意するが、なかなかそうはいかない。

極めてオーソドックスに作られた「正義」の映画だった。世界各地の厳しい現実を知らせるために、ジャーナリストは命を賭ける。その家族は大変だが、ジャーナリストは間違っていないというのが、この映画の基本的な論理だ。メイクなしでカメラマンを演じるビノシュが実にサマになっていて、その「正義」を体現する。

戦争取材にハマったカメラマンやジャーナリストは中毒のようなもので、結局人の言うことは聞かない。レベッカは家族へ戻ろうと努力するが、それは容易ではない。ニューヨークの編集者からの電話1本で、心は戦場に向いてしまう。その自分中心的な部分も映画はきちんと見せる。

監督はノルウェーのエーリク・ポッペ。海洋学者の夫や2人の娘の演出も的確で、とりわけ長女とビノッシュの会話は涙を誘う。音楽がいささか盛り上げ過ぎの感はあるが、多くの人に見てもらうには必要かもしれない。

個人的には「正義」と結びついたジャーナリスト根性があまり好きでないので引いてしまう部分もあったが、こういう映画は必要なのだろう。それにしても、ジュリエット・ビノッシュは堂に入っていて、それがまた私には気になった。

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