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2014年10月11日 (土)

初めての釜山:その(4)

ゴダールの『さらば、愛の言葉を(3D)』を釜山で見た。実は来年初めに日本での公開が決まっており、釜山に来る前の週に内覧試写の案内も来たが時間がなかった。なぜか早く見たいという思いが強まって、英語字幕でみることにした。70分という上映時間が、慌ただしい帰国前には好都合でもあった。

一言で言うと、私には最近のゴダールでは一番おもしろかった。一生の間、映画とは何かを考え続け、映画にとっての美や倫理を追求してきたゴダールが、3Dという新しい技術を得て水を得た魚のようにはしゃいでいる感じがした。

原題はAdieu au langage「言語への決別」だが、決別どころか例によって言語が埋め尽くす映画だ。ソルジェニツィン、ドストエフスキー、プラトン、コクトーなどが次々と引用され、これでもかと本が写る。赤い花、流れる川、黄色い枯葉の森、青すぎる空、雪の中の犬、夜の高速道路、TGV、水彩絵の具などのゴダール的なモチーフと色彩が3D効果もあって冴えわたる。

部屋の中には大きな薄型テレビがあって、白黒映画を上映している。そこでどうでもいい会話を続ける男女。女はゴダール映画らしい切れ長の目の美女でやたらに服を脱いだり着たりする。男はいつもトイレにしゃがみ、「思想は糞の中にある」「子供はいらないが犬ならいい」といった戯言を続ける。

永遠に交わらない男女の心と、蘇る過去の映像や文学の引用、あるいはヒトラーをめぐるドイツ語の会話。最後に黒い画面に子供の声と犬の声が交じり合う。これが「言語への決別」か。それにしては言語が多すぎるし、映像は美しすぎる。

一般上映でロッテ百貨店のシネコンで見たが、平日朝10時からの上映なのに300席ほどが満席。上映後は拍手まで出た。字幕は英語が下に出て、韓国語が右端に投影。

そのほか、イヴァノ・デ・マテオ監督の「The Dinner」を見に行った新世界百貨店のCGVのStariumで、スクリーンの大きさに圧倒された。幅27メートルで同じ系列の30メートルのStariumがソウルにできるまでは、アジア一大きなスクリーンだったという。都心で一番大きい東宝シネマズ六本木のスクリーン7が20メートルなので、その大きさがわかる。

その映画は始まると実はベネチアで見ていたことがわかり(原題はI nostri ragazzi「我らの子供たち」)、別のスクリーンでインド映画のFinding Fannyという喜劇を見た。ここは何とCine de Chefというレストランの中にあるスクリーンで、大きなソファで見る。その豪華さにも驚いた。映画は途中で出たが。

ゴダールの溌剌とした映像の実験と巨大なスクリーンとソファ上映を体験して、釜山がいよいよ未来都市に見えてきた。

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