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2014年10月13日 (月)

初めての釜山:その(5)

さて、釜山国際映画祭そのものはどうだったかというと、これはもう東京国際映画祭が逆立ちしてもかなわない域に達していると思った。上映作品の質の高さと量、ワールドプレミア(世界初上映=WP)の多さ、立派な専用会場、観客の多さ、ボランティアを中心にした気持ち良い運営等々。

まず、正式上映の本数が312本。WPとインターナショナルプレミア(自国外初上映=IP)が短編を除いて98本もある。これが7つの劇場の33スクリーンで上映され、総観客数は22万6千人を超したという。観客数では40万人を超すトロントに次ぐだろう。

セレクションの質の点でも素晴らしい。オープニングはIPの台湾映画「軍中楽園」でクロージングがWPの香港=中国映画Gangster Pay Day「ギャングの給料日」。どちらも有名な監督ではないが、オープニングのニウ・チェンザー監督作品の質の高さについてはここに書いた通り。

「ガラ上映」というセクションは、チャン・イーモウ、アン・ホイ、モフセン・マフマルバフ、イム・グォンテクの4人のアジアの巨匠の新作が並ぶ。こちらはWPでもIPでもないが、マフマルバフのThe President「大統領」はベネチアで見て傑作だと思った。

次に来るのが「アジア映画への窓」で、WPやIPを含む57本のアジア映画を上映する。日本からは、塚本晋也監督の『野火』、広木隆一監督の『さよなら歌舞伎町』、三池崇史監督の『喰女』、杉野希妃監督の『欲動』(WP)、熊切和嘉監督の『私の男』、石井裕也監督の『ぼくたちの家族』、河瀬直美監督の『二つ目の窓』、園子音監督の『TOKYO TRIBE』、篠崎誠監督の『Sharing』。

ここにはツァイ・ミンリャンやジョニー・トーなどの有名監督作品も並ぶが、私の知らない監督作品が大半。さらに「新しい流れ」というセクションでは、アジアの若手の12本のWP作品が並ぶ。日本からは佐藤快磨監督の『ガンバレとかうるせぇ』。さらに「今日の韓国映画のパノラマ」は加瀬亮出演の『自由ヶ丘で』を含む21本、そして「今日の韓国映画のビジョン」では若手のWP作品10本。「韓国映画回顧」部門ではチョン・ジンウ監督の8本。

「ワールド・シネマ」部門がここで触れたゴダールの『さらば、愛の言葉よ』などベルリン、カンヌ、ベネチアの話題作を中心に54本。「前へのフラッシュ」部門ではアジア以外の若手作品を35本。これに「短編」部門や「ドキュメンタリー部門」、「真夜中の情熱」部門(中島哲也の『渇き。』など)、特集として「グルジアの女性監督」「新しいトルコ映画」等々。

書いているだけで疲れてくるが、あくまでアジアを中心に、ヨーロッパやアフリカ、中南米にも目を配り、ハリウッドの大作には目もくれない姿勢が伝わってくる。ディズニーの『ベイマックス』をオープニングに持ってくる東京国際映画祭は何なのだろうか。

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