『マダム・マロリーと魔法のスパイス』の面白さと不満点
ラッセ・ハレストルム監督の『マダム・ローリーと魔法のスパイス』を劇場で見た。東京国際映画祭の反動もあったが、それ以上に勤務先の大学の学園祭で進学相談を3時間もやって疲れていたから。そんな時、ハリウッドがフランスで撮った映画、それも料理を題材にしたと聞いてその安易さに心が動いた。
そのうえ、先週の金曜夕刊各紙でも(もちろん朝日を除いて)、高い評価を得ていた。ハレストルム監督は『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』は良かったけれど、ハリウッドに行ってからはあまり見ていない。
結果としては、疲れた時に見るのにはいい気分転換の映画だった。南仏のミシュラン1つ星の有名レストランの前にインド人の一家が移り住み、インド料理店を始める。ヘレン・ミレン演じるレストランのオーナーはそれを冷やかに見て、密かに意地悪を企てる。
インド一家の若き次男が実は名コックで、フランス料理店を助けることになり、それをきっかけに有名シェフへの道を駆け上がるという展開が、見ていて気持ちいい。ヘレン・ミレンもインド一家の父役のオム・プリも堂々たる演技で、その確執がおかしい。次男(マニッシュ・ハッサン)とフランス料理店の副シェフ・マルグリット(シャルロット・ル・ボン)の恋も爽やかだ。
だから人間ドラマはおもしろいのだが、インド料理にしてもフランス料理にしても、どのように作っているのか、細部がほとんど描かれていない。だから次男がなぜ急に名コックになるのかピンと来ないし、フランス料理にインド風の味を利かせて成功するあたりもよくわからない。唯一次男がオムレツを作るシーンだけはきちんと描かれるけれど、それだけでは寂しい。
ちなみに次男がパリに出て働くレストランは、ポンピドゥ・センターの上にある。あの場所は昔から数年ごとにレストランが変わっていたが、今は映画のように流行っているのだろうか。それからヘレン・ミレンのレストラン「ル・ソール・プリリュール」を検索してみたら、実際に南仏に同じ名前(LE SAULE PLEUREUR)のミシュラン1つ星の店があった。そこと関係がないわけではないだろうが、パンフにはこうした情報が全くないのは残念。
私も自分流で料理を作るが、この映画を見たら、もっと料理の精進をしたくなった。
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コメント
料理をするシーンが手術シーンを見ている気分になる、と思ったのは確かに料理よりも料理している人を主体に撮っているショットやテンポの速い(時としてその調理の音がリズムを作ることも)が多かったからなんですね。おかげで手術シーンのように思えた理由がわかりました、ありがとうございます。
しかしこの映画、幕切れが悪かったです。どこで映画を終わらせようか、まごついているように思えました。終わりかと思いきや終わりでない、紛らわしくそれが良い印象をもたらしていない。歯切れが悪かったです。
投稿: チャカ | 2014年11月 3日 (月) 20時23分